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NY原油24日:週末を控えて調整売りが膨らみ、反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油5月限 前日比0.59ドル安

始値 57.53ドル

高値 57.95ドル

安値 56.50ドル

終値 57.15ドル

特に目新しい材料は見当たらなかったが、高値圏での足踏み状態が続く中、週末を前に買い玉整理の動きが優勢になった。

引き続きイエメン情勢に対する警戒感も強く、ブレント原油相場は小幅ながら続伸している。ただ、イエメンに関する地政学的リスクを改めて織り込む必要性までは乏しく、WTI原油は一段と上値を切り上げることに失敗している。寧ろ、米国でシェールオイルの生産調整が始まっているにもかかわらず、米原油在庫に増加圧力が継続していることが嫌気され、本日は調整売りが優勢になった。米国のシェールオイルに減産開始の兆候が増えていることはポジティブだが、過去最高水準の在庫環境が続く中、一段と上値を試すことが正当化できるのか、やや気迷いムードが見受けられる状況になっている。

もっとも、改めて原油相場を本格的に売り込むような動きまでは見られなかった。為替相場がドル安方向に振れたこともポジティブであり、週末を控えてのポジション調整の域は脱していない。高値を売り込まれたというよりも、買い方の利食い売りが進んだというのが実態だろう。

引き続き、「シェールオイルの減産兆候」と「足元の需給緩和」のどちらを重視するのかで決まる相場環境だと考えている。冷静に考えれば、シェールオイルの生産が日量数万バレル減少したとしても、大きな意味はない。それ以上にOPECからの供給が増えており、供給サイドで需給引き締め圧力が強まるような環境にはない。短期トレンドは明らかに上を向いているが、今後は高値是正の必要性が強く、下値不安の大きい価格水準と評価している。ただ、シェールオイル生産が当面のピークを確認するステージを迎えているのも事実であり、将来の需給均衡化を先取りする動きが加速する流れには注意が必要。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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