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NY金22日:良好な米指標を受けての金利上昇で、急反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比16.20ドル安

始値 1,202.20ドル

高値 1,204.40ドル

安値 1,185.00ドル

終値 1,186.90ドル

米早期利上げ観測が蒸し返される中、急反落となった。

アジア・欧州タイムは1,200~1,205ドルを中心に揉み合う展開になったが、ニューヨークタイム入りしてからまとまった売りが膨らみ、1,200ドルの節目を完全に下抜いている。良好な米指標を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げに対する警戒感が高まったことが、急落を促した。1,185~1,190ドルのレンジで下げ一服となるも、その後の反発力は限定されている。

本日はギリシャ債利回りが急低下したこともあり、特にギリシャのデフォルト・リスクを織り込むような動きは見られなかった。欧州中央銀行(ECB)がギリシャ銀行向けの流動性供給を拡大する一方、同国のバルファキス財務相が交渉の進展を示唆する発言を行ったことが、ギリシャリスクの織り込みにブレーキを掛けている。

こうした中、米早期利上げ観測から米長期金利に上昇圧力が強くなったことが、金相場を大きく下押しした。ドル相場は特に目立った反応を示さなかったが、3月中古住宅販売が前月比+6.1%と急増したことに加えて、販売価格の中央値が前年同月比+7.8%と急伸していることが、米経済の底堅さを示す指標として高く評価されている。4月20日には、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が、米成長回復が年内の利上げを正当化するとの楽観的な発言を行っていたが、その直後にこうした発言を支持する指標が発表されたことが、売り安心感につながった模様だ。

引き続きギリシャ情勢には注意が必要だが、シカゴのボラティリティ指数低迷が続くなど、安全資産に対する退避需要は特に高まっていない。今後の進展によっては瞬間的な上昇圧力も想定しておく必要があるものの、それがFRBの金融政策正常化プロセスに影響を及ぼさないのであれば、一時的な戻り圧力の有無という視点に留まる。引き続き、利上げ着手の時期が近づいていることに対する警戒感は強い。本格的な下げには米長期金利の上昇、ドル高が必要不可欠であるが、ギリシャ債務問題に絡んだ戻り圧力がみられれば、売り場になるだろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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