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NY金20日:ギリシャ不安は拡大するも、ドル高で反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比9.40ドル安

始値 1,204.40ドル

高値 1,209.00ドル

安値 1,190.80ドル

終値 1,193.70ドル

為替相場がドル高方向に振れる中、戻り売り優勢で反落した。

アジアタイムに1,205ドル水準での小動きに終始した後、欧州タイム入り直後にはギリシャ債務問題の先行き不透明感を背景に一時1,209.00ドルまで上伸した。しかし、その後はドル高連動でマイナスサイドに沈み、再び1,200ドルの節目も大きく割り込んでいる。取引終盤にはショートカバー(買い戻し)で下げ一服となるも、反発力は限定された。

ギリシャ債務問題に関しては、週末にも特に目立った進展はみられず、ギリシャ国債利回りに対する上昇圧力は継続している。ギリシャに対する救済融資実施に向けての交渉は行き詰っており、月内の合意はほぼ不可能との見方が強い。こうした中、ギリシャ政府は地方政府の手元資金を全て中央銀行に移管させる政令を発しており、月末の公務員給与や年金支払い能力を既に失っていることが露呈している。国際通貨基金(IMF)に対する融資返済などの資金需要もあり、デフォルト・イベントは着実に近づいている。ただ、マーケットでは最終的な合意は可能との楽観ムードが強く、金相場に対する影響は限定された。ギリシャ情勢に関するヘッドラインが増えているが、本日は米国株が反発に転じるなど、本格的にリスクオフの動きを押し進めるような動きは見られない。逆に、為替相場でドル高圧力が強くなったことが嫌気され、戻り売り優勢の展開になっている。これまでギリシャ情勢がユーロ安(ドル高)を促す動きは限定されていたが、本日は比較的素直にユーロが売られており、ドル建て金相場の上値は圧迫された。

引き続き、ギリシャ債務問題については注意が必要。ギリシャ債利回りはなお上昇を継続しており、こうした傾向が続いている間は、瞬間的に上昇圧力が強まるリスクがある。ただ、それがFRBの金融政策正常化プロセスに影響を及ぼさないのであれば、一時的な戻り圧力の有無という視点に留まる。引き続き、利上げ着手の時期が近づいていることに対する警戒感は強い。本格的な下げには米長期金利の上昇、ドル高が必要不可欠であるが、ギリシャ債務問題に絡んだ戻り圧力がみられれば、売り場になるだろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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