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NY金24日:ドル高一服も、米長期金利低下で小幅続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比3.70ドル高

始値 1,188.50ドル

高値 1,194.50ドル

安値 1,184.70ドル

終値 1,191.40ドル

米連邦公開市場委員会(FOMC)の調整地合が続く中、続伸した。

アジアタイムにはやや戻り売り圧力が強まる場面も見られたが、欧米タイムに入ると改めてショートカバー(買い戻し)を進める動きが強まり、プラス圏に切り返している。積極的に上値を買い進むような動きまでは見られないが、FOMCを境に米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ観測が後退していることが、引き続き金相場の安値是正を促している。本日はドル安圧力が限定され、ユーロ/ドルに関してはほぼ横ばいでの推移になった。しかし、米長期金利の低下傾向が続く中、改めて戻りを売るような動きは鈍く、総じて底固い展開が維持されている。

ギリシャ債務問題に対する警戒感は根強く、欧州中央銀行(ECB)はギリシャの市中銀行が短期の政府証券保有を増やすことを禁止する方針を固めたとされている。ギリシャ政府が追加の短期証券を国内市中銀行に引き受けさせ、改革を先送りできる資金調達ルートを断つ目的と見られる。ただ、本日はギリシャ債利回りが急低下するなど、特に債務問題のリスクプレミアム加算を進めるような動きは見られなかった。ユーロ圏の財務当局者は25日に電話会合を行う予定になっており、危機回避に向けての取り組みが継続していることが、マーケットに対する影響を限定している。

引き続き為替相場次第の相場環境になるが、FOMC後の調整局面が続いている間は、当然に金相場に対しても安値是正圧力が強まり易くなる。ただ、最短で6月にも利上げが行われる可能性があるという基本環境はFOMC前後で何も変わっておらず、金価格のダウントレンドそのものが修正を迫られることはないだろう。イエレンFRB議長はマーケットが利上げ時期の特定を進めて織り込んでいくことを強く警戒しており、ドル相場高・金相場安の流れが一本調子に進むことはない。しかし、月末・月初の指標で米経済の底固さが再確認できれば、徐々にドル買い・金売りの動きが勢い付く見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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