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NY原油13日:IEAは需要引き上げも、供給過剰警戒で6週間ぶりの安値

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油4月限 前日比2.21ドル安

始値 46.93ドル

高値 47.28ドル

安値 44.75ドル

終値 44.84ドル

引き続き過剰供給に対する警戒感が強く、大幅続落となった。

国際エネルギー機関(IEA)は3月月報において、2015年の世界石油需要見通しを前月から日量13万バレル上方修正した。価格低下と世界経済の拡大を受けて、需要見通しに引き上げ圧力が強くなっていることが再確認できる。ただ、米国の産油量見通しについても前月から日量15万バレル引き上げるなど、「価格低下→生産調整」の動きに懐疑的な見方が示される中、IEAの需給見通しを手掛かりに安値是正を進めるような動きは見られなかった。今後は季節要因から米原油在庫の増加ペースが鈍化する可能性なども指摘されているが、足元の供給過剰に対する警戒感を払拭するには至っていない。

米ベーカー・ヒューズ社発表の石油リグ稼動数(13日時点)は、前週比-56基の866基となり、減少傾向が続いていることが確認できる。ただ、従来と比較すると減少ペースが鈍化していることに加えて、一切の産油量には大きな影響がみられない中、リグ稼動数の減少を手掛かりに買いを入れるような動きは見られなかった。

引き続き、足元の潤沢な在庫環境が嫌気されており、50ドルの節目を挟んだボックス相場を下放れしている。1月30日以来の安値を更新しており、同29日に付けた直近安値(43.58ドル)も射程圏内に入り始めている。

需給バランスの歪み是正の動きが強くなっていることは間違いないが、この時期から原油相場が反発してしまうと、需給均衡化をもたらすのに十分な生産調整が進まず、今後の反発力が限定されてしまうことになる。中長期的にはボトム圏に近づいているのは間違いないが、短期スパンでは依然として戻り売り対応の方に魅力を感じる。特に急激なドル高傾向が続いている間は、地政学的環境に大きな変化などが生じない限り、本格反発は想定しづらい。チャートの計上も悪化する中、トレンドフォローの売りがどこまで膨らむのかに注目したい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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