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ガソリン価格の値上がりは続く?

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

資源エネルギー庁が2月18日に発表したレギュラーガソリンの店頭価格(2月16日時点、全国平均)は、1リットル当たりで前週比+1.9円の135.4円となった。ガソリン店頭価格の値上がりは、昨年7月14日の週以来、約7ヶ月ぶりのことになる。

背景にあるのは、1)国際原油相場の急落傾向に歯止めが掛かっていることと、2)為替相場が円安気味に推移していることだ。これによって日本の原油調達コストが値上がりに転じる中、ガソリン店頭価格にもコスト高分を転嫁する必要性が高まっている訳だ。

東京商品取引所(TOCOM)のガソリン先物相場(期近物)の場合だと、1月15日の1キロリットル=4万6,120円で底入れし、2月18日終値だと約1ヶ月半ぶりの高値となる5万8,110円まで切り返している。この動きが漸く店頭レベルまで波及し始めたのが、2月10~16日の週だったということになる。

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■ガソリン価格が反発した理由

では、なぜここにきて原油調達コストが上昇しているのかというと、国際原油市場でいよいよ生産調整の動きが本格化するとの期待感が高まっている影響が大きい。例えば、シェールオイルの生産地である米国の場合だと、石油リグ稼動数は昨年10月のピーク時から3割以上も減少している。また、石油メジャー各社は2014年12月決算報告の場において、15年の設備投資縮小計画を相次いで発表しており、「原油相場急落→高コスト原油の生産調整→供給過剰状態の解消」という、サウジアラビアの意図したフローに目処が立ったとの楽観ムードが広がっている。

実際には、シェールオイル生産に歯止めが掛かっている訳ではなく、国際原油相場は今後の原油需給バランスの均衡化実現に楽観的に過ぎると考えている。米国でも原油在庫の急増傾向は続いており、だぶついた需給環境の中で原油相場のみが反発傾向を強めることには違和感が強い。

こうした状況を考慮すると、今回のガソリン価格上昇の動きに持続性があるのかは疑問視される。業転価格が現在の値位置を維持すれば来週も若干の値上がりが想定されるが、ガソリン価格が本格的に上昇を開始するには、まだ時間が必要と考えている。年間を通じての安値圏に近づいていることは間違いないが、急激な円安などがなければ、ここから一気に140円、150円とガソリン価格が値上がりすることもないだろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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