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藤井聡太二冠、5期連続決勝トーナメント出場なるか――第34期竜王戦ランキング戦2組準決勝展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
現在16連勝中と勢いが止まらない藤井聡太二冠(筆者撮影)

 第34期竜王戦(読売新聞社主催)ランキング戦2組準決勝、藤井聡太二冠(18)―松尾歩八段(40)戦は3月23日東京渋谷区「将棋会館」で行われる。勝者は2位以上が確定し決勝トーナメント進出が決まる。

 過去のランキング戦で6組から3組まで4期連続優勝(史上初)している藤井二冠にとって5期連続の決勝トーナメント進出がかかる。

 データを基に勝敗と戦型を予想してみた。

破竹の勢い藤井二冠

<藤井二冠の最近10局>

12月16日 順位戦B級2組

対野月浩貴八段 ○

1月6日 順位戦B級2組

対中村修九段 ○

1月17日 朝日杯将棋オープン戦

対大石直嗣七段 ○

1月17日 朝日杯将棋オープン戦

対豊島将之竜王 ○

1月29日 竜王戦ランキング戦2組

対阿久津主税八段 ○

2月9日 順位戦B級2組

対窪田義行七段 ○

2月11日 朝日杯将棋オープン戦準決勝

対渡辺明名人 ○

2月11日 朝日杯将棋オープン戦決勝

対三浦弘行九段 ○

2月18日 竜王戦ランキング戦2組

対広瀬章人八段 ○

3月10日 順位戦B級2組

対中村太地七段 ○

<松尾八段の最近10局>

12月18日 竜王戦ランキング戦2組

対深浦康市九段 ○

12月24日 順位戦B級1組

対屋敷伸之九段 ●

1月6日 王将戦1次予選

対真田圭一八段 ●

1月14日 順位戦B級1組

対山崎隆之八段 ●

1月18日 叡王戦予選

対泉正樹八段 ○

1月18日 叡王戦予選

対広瀬章人八段 ●

2月4日 順位戦B級1組

対郷田真隆九段 ○

2月9日 王座戦2次予選

対広瀬八段 ●

2月17日 竜王戦ランキング戦2組

対千田翔太七段 ○

3月11日 順位戦B級1組

対阿久津主税八段 ●

 データからは現在16連勝中と絶好調の藤井二冠(王位・棋聖)が圧倒的有利だ。順位戦でも3月10日に難敵中村七段を破り10戦全勝でB級1組昇級に花を添えたばかり。

 デビュー以来の通算勝率も8割4分超えで棋界ナンバーワン。それに加えて持ち時間5時間の竜王戦ランキング戦では6組から3組まで1回も敗れておらず、持ち時間6時間の順位戦でも通算39勝1敗と驚異的な数字を残しており長時間対局の適性が高いと思われる。

 対する松尾八段の直近10局は4勝6敗と黒星が先行し調子は今一つ。ただし竜王戦では2017年にランキング戦1組で優勝し決勝トーナメントでも挑戦者決定三番勝負進出の実績がある。状況は厳しくとも相性の良い棋戦で先輩棋士としての意地を見せたいと思っているだろう。

松尾八段後手なら横歩取りの可能性大

 過去の直接対決は2017年12月の朝日杯将棋オープン戦1局のみで、このときは先手の松尾八段が中飛車穴熊を採用し、後手の藤井四段(当時)が急戦から終盤穴熊の弱点である端と玉頭を攻めて勝っている。

 藤井二冠は居飛車党、松尾八段もふだんは居飛車の採用率が高いので松尾八段先手なら矢倉か角換わり。藤井二冠先手なら後手の松尾八段が得意の横歩取りに誘導する可能性が高いと予想する。

 盤石の強さに思える藤井二冠も、横歩取りの先手番勝率は他の戦型に比べて低く8勝7敗と苦戦しており、勝負は予断を許さない。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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