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挑戦権を得るのは羽生九段か丸山九段か――第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負第3局を予想

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
羽生九段はタイトル獲得通算100期へのチャレンジなるか(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 豊島将之竜王(30)への挑戦者を決める第33期竜王戦(読売新聞社主催)は9月19日、東京都渋谷区「将棋会館」で羽生善治九段(49)と丸山忠久九段(50)の挑戦者決定三番勝負第3局が行われる。

 最新のデータから展開と挑戦権の行方を予想してみた。

丸山九段の好調が目立つ

<羽生九段の最近10局>(未放映のテレビ対局を除く)

5月21日 王座戦本戦

対飯島栄治七段 ●

6月8日 順位戦A級

対菅井竜也八段 ○

6月13日 王位戦リーグ白組

対菅井八段 ○

6月28日 将棋日本シリーズ1回戦

対久保利明九段 ●

7月13日 棋王戦本戦

対屋敷伸之九段 ●

7月28日 順位戦A級

対佐藤天彦九段 ●

8月13日 竜王戦決勝トーナメント準決勝

対梶浦宏孝六段 ○

8月17日 竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局

対丸山九段 ●

8月25日 竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局

対丸山九段 ○

9月2日 順位戦A級

対糸谷哲郎八段 ●

<丸山九段の最近10局>(対戦相手の肩書は対局当時)

7月24日 竜王戦決勝トーナメント

対藤井聡太棋聖 ○(千日手指し直し)

7月31日 竜王戦決勝トーナメント

対佐藤和俊七段 ○

8月7日 順位戦B級1組

対松尾歩八段 ●

8月12日 竜王戦決勝トーナメント準決勝

対久保利明九段 ○

8月17日 竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局

対羽生九段 ○

8月25日 竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局

対羽生九段 ●

8月27日 順位戦B級1組

対久保九段 ●

9月3日 王位戦予選

対田中寅彦九段 ○

9月8日 棋王戦本戦

対阿久津主税八段 ○

9月17日 順位戦B級1組

対行方尚史九段 ○

 直近10局の成績ではタイトル獲得通算100期のチャレンジが期待される羽生九段が4勝6敗と負け越しているのが気がかり。

 対局の間隔も比較的空いており十分な調整が可能なはずなのに、有利な展開から終盤での失速も多く内容が勝ち星に結びついていないのは不安材料だ。

 対照的に丸山九段は8月に5局、9月に入ってもすでに3局とハイペースで対局をこなしているが7勝3敗と好調。9月17日の順位戦(持ち時間6時間)から中一日で持ち時間5時間の本局を迎える点は気になるが、対局中も旺盛な食欲で50代を迎えても体力で若手に負けておらず、コンディションは丸山優位と見る。

3局連続で角換わりは確実?

 これまでの両者の対戦成績は羽生九段の39勝20敗。

 挑戦者決定三番勝負は第1局、第2局とも角換わりに進んだことを考えると、改めて振り駒となる第3局は羽生九段先手なら丸山九段は得意の一手損角換わり、丸山九段先手でも角換わりになる可能性が非常に高い。

 過去の戦績からは羽生九段有利にも思えるが、今回は調子の差を重く見て丸山九段が互角以上の内容で戦えると見る。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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