2位にダブルスコアをつける圧倒的なパフォーマンス

 オリックスの主砲、吉田正尚が27試合を終えた時点で打率.323、5本塁打、13打点と好調、今季も打線を引っ張っている。長打力が魅力のスラッガーは2018年から3年連続でOPS.950以上、昨季は打率.350で首位打者に輝くなどバットコントロールにも優れている。この高打率と共に優れている点が三振数の少なさだ。昨季は120試合、492打席で29三振。16.97打席に1つだけ、つまり1カードで1三振以下だった。打球を前に飛ばすことさえ出来れば野手のいないところへ落ちる確率が一定以上はあるが、三振は走者を進めることも相手の失策を誘うことも出来ずただ単にアウトカウントが増えるだけ。他の凡退以上に得点への貢献度は低い。吉田正は打撃でプラスを積み上げるだけでなくマイナスを抑える能力が高いこともわかる。三振数を少なくするだけなら早いカウントから仕掛ければ可能だが、それだと四球が選べない。吉田正はこの観点からも優れている。1つ三振する間にいくつ四球を選べるかを示したBB/Kは0.8以上なら優秀、1.0以上が非常に優秀とされている。選球眼の良さで知られる選手のキャリア最高BB/Kは鳥谷敬(ロッテ)が2017年の1.24、丸佳浩(巨人)が2014年の1.05など。昨季の規定打席に到達した53人中、BB/Kが1.0以上なのは4人しかいなかったが吉田正の数値は2.48。これは2位の近藤健介(日本ハム)の1.24の倍となりもちろん12球団でダントツのトップとなる。ここまで高いと吉田正の記録はレジェンド達にも引けを取らないはずだ。

今季の吉田正は昨季以上。王超えなるか

 三振数の少なさならば真っ先にイチローの名前が思い浮かぶ。日米通算4367安打を放ったヒットマンはオリックス時代の1997年に216打席連続無三振の日本記録を樹立している。この年のイチローはBB/Kでも1.72と非常に優秀だが吉田正の2.48はこれよりも0.7以上高い。三振する割合もイチローは16.86打席に1つで吉田正は16.97。わずかながら上回っている。

 しかし昭和のスター達はその上を行く。NPB通算安打記録1位の張本勲は1974年にBB/Kで2.93、ミスタープロ野球・長嶋茂雄は1963年にBB/Kで2.87をマーク。さらに世界のホームランキング、王貞治は1.293というとんでもないOPSを記録した1974年に158四球、44三振でBB/Kでも3.59という超人的な成績を残した。OPSと共にこの年の158四球、45故意四球も未だに破られていない日本記録だ。

 途方もない数字だが今季の吉田正は昨季以上のパフォーマンスを見せ115打席で15四球、4三振。BB/Kは3.75でなんと現在、王超えを果たしている。三振は28.75打席に1つと驚異的。吉田正の三振が見られるのは1週間に1度だけだ。このペースをどこまで維持出来るか。近年下位に沈むチームをそのバットで上昇気流に乗せたい。