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オールスター第1戦は難攻不落のリリーフエースに期待

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

 オリックスにスゴイ投手がいる。

 プロ2年目の山本は140km/h台のフォークに150km/hに迫るカットボールなど漫画かゲームの世界のような投球を披露し、春先に注目を集めた。その後、メディアに取り上げられることは少なくなったが大活躍は続いており、ここまで35試合に登板して4勝1敗、防御率1.29。10日の楽天戦で被弾し負け投手になるまで15試合連続で無失点&ホールドポイントを記録、超一流選手の証である失敗した時にニュースになる選手の領域に片足を踏み入れている。

 ルーキーイヤーの昨季、ファームでは8試合に登板し、2勝0敗、防御率0.27。33回2/3を投げて1失点しか許していない。1イニングに何人の走者を出したかを示すWHIPは1.2を切ればエース級、1.0を切ればリーグを代表する投手というのが目安だが、山本の成績は0.65。四球を1つ与えるまでにいくつ三振を奪ったかを示し、3.5を越えれば優秀とされるK/BBも同じく驚異の14.0。昨季54セーブを挙げたソフトバンクの守護神・サファテがWHIP0.67、K/BB10.2だったから2軍でどれだけ圧倒していたかがよくわかる。

 阪神・藤川が中継ぎとしてブレイクした2004年の成績は26試合31回を投げて2勝0敗、防御率2.61。WHIPは1.19、K/BBは3.18だった。山本はすでに2004年の藤川より多くの登板機会をこなした上でWHIP0.80、K/BB3.44とどちらも藤川以上の成績を残しており、平均的な投手が同じイニングを投げた場合と比べて失点を12.06点防いでいる計算になる。イニング数の限られるリリーフで10点を超えるというのはかなり優秀。しかも同点や僅差のリード時のイニングでこの働きだから尚更価値が高い。

 監督推薦で初出場するオールスター、第1戦はオリックスの本拠地、京セラドーム大阪で行われる。投げ慣れたマウンドで被打率.160、被OPS.447という難攻不落のリリーフエースがセリーグファンの度肝を抜く。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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