追い込まれた現役唯一の三冠王、松中に突きつけられた厳しい現実
ソフトバンクを退団したかつての三冠王、松中の去就が決まっていない。
2004年には打率.358、44本塁打、120打点の成績でチームを優勝に導いたが、膝の故障もあって2010年以降は出場機会が減少。昨季の成績は9試合15打数1安打9三振で打率は.067に終わった。報道によればソフトバンクを退団後も現役続行の道を模索し、春季キャンプでの入団テストを望んでいるという。2軍での成績に手応えを感じているようでその成績は
2015年 77試合 .299 11本塁打 38打点 OPS.920
2014年 32試合 .406 5本塁打 19打点 OPS1.214
2軍では成績を残せた、どころか格の違いを見せつけている。特に長打率-打率で計算されるIsoPは昨季が.239で2014年は.290。長打率は単打でも上がるがIsoPは長打を打たねば上がらない。目安としては.200以上あれば文句なしに長距離砲と言えるだろう。例えば昨季は日本ハムの中田が.215、DeNAの筒香が.206を記録している。松中は2軍ではOPSもさることながらIsoPでも優秀な成績を残しており当たれば飛ばせる長打力は健在の様子。ただし昨季の成績を見る限り問題は1軍投手の球をジャストミート出来るかということ。1軍では過去3年間で51回打席に立ち長打は二塁打が1本だけ。また、通算成績では約8打席に1つの四球を選んでいたが、過去3年間は約12打席に1つ。打席数が限られるため結果を求めて早打ちになっていたのかもしれないが、相手投手が以前ほど恐れていない可能性もある。
昨季2軍で77試合に出場した松中だが守れるポジションは限られる。昨季の出場はDHばかりで2014年も守備に就いたのは5試合のみ。その時は外野を守っているが、守備機会はわずか2度。若手を育てることが目的の2軍ならではの事情もあってのことだろうが、守備に難がある場合、そこそこ打てるぐらいではスタメンで使い続けることは難しい。年齢的にも全盛期は過ぎており、走力という点を考えてもセリーグなら一塁、パリーグなら一塁かDHを争うことになるだろう。となると、ライバルは助っ人外国人達。外国人を押し退けることが出来れば、球団にとっても外国人枠の1つを投手に回すことが出来るというメリットが生まれる。
ただ現実的に考えてどこかの球団に入団出来たとしても最初は左の代打となることが濃厚。昨季の代打成績は打率.194で総得点も12球団最少に終わっている楽天が興味ありとの報道が出ている。入団テストが実施された場合、フリー打撃で柵越えを連発しても飛ばす力があるのは昨季の2軍成績でわかるはず。問題でありアピールしなければならないのは、1軍投手の球もしっかり捉えられるか、だが調整期間であるキャンプで投手がどこまでシーズン中と同じような球を投げられるか。現役唯一の三冠王に突きつけられた現実は厳しい。