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貯金47でパリーグ史上最速優勝を果たしたソフトバンクの戦力の厚み

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

85勝38敗4分 勝率.691

2勝1敗ペースを大きく上回る圧倒的な勝率で47もの貯金を積み上げパリーグ優勝を果たしたソフトバンク、貯金18と例年なら優勝してもおかしくない好成績を収めていた日本ハムに14.5ゲーム差の大差をつけた。

パリーグ他球団の監督達が揃って口にしたソフトバンクの強さは「戦力層の厚さ」だった。トリプルスリー達成確実な柳田は出塁率.468、長打率.632、OPS1.101の全てが12球団トップと打線を引っ張り、チームトップの34本塁打を放った松田は1度も4番を務めることなく主に6番打者として打線に厚みを加えた。4番の内川を外した8月13日から20日の7試合の勝敗は5勝2敗でこの間の平均得点は5.43点。主力を外してもその影響を感じさせなかった。この間、内川に代わってレフトのポジションでスタメン出場していたのが川島と中村晃。内川の打率.285、11本塁打、78打点に比べて川島は打率.269、1本塁打、19打点、中村晃は打率.299、1本塁打、36打点と迫力には欠けるがOPSは内川が.747、川島が.764、中村晃が.734と内川が例年より低いこともあるがほとんど変わらない。OPS以外にもその打者1人で打線を組んだら何点取れるかを示したRC27では内川が4.58点で川島が5.17点、中村晃が5.31点だからチームの主役ではない2人がチームの主軸を上回る数字を残している。このRC27は安打数や塁打数のみならず犠打や盗塁も加味し、三振や併殺打によるマイナスも計算に含む打者の得点能力を表す総合的な指標である。

RC27のトップはもちろん柳田で11.32点。リーグ2位の秋山で7.82点だから断トツだ。ソフトバンクは李大浩が7.00、松田が6.42、中村晃が5.31と高い数値を残し、規定打席未到達の打者でも上記の川島の5.17の他、明石が4.37、長谷川が4.04、吉村が4.01、福田が3.91とベンチに置いておくのはもったいない数値を残している。

RC27の高い選手が多くいるチームもあるが規定打席到達者が少なかったり、逆に西武や日本ハムはレギュラー陣のRC27は高いが控え選手との差が大きい。やはり、総合的に考えると質、量共にソフトバンクの厚みは頭1つ抜ける。さらにウエスタンリーグ打率1位と2位の上林とカニザレスは1軍での出場機会は多くないもののRC27で5.25点と6.49点という好結果を残した。

レギュラー陣と控えの実力差が大きくなく、主力も年齢的にベテランの領域手前の円熟期を迎え、楽しみな若手も育ってきている。このソフトバンクの強さはちょっとやそっとじゃビクともしない。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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