大島の守備範囲は狭くなったのか?年俸調停も辞さない大島、平田は中日外野守備の要

守備範囲は数値化出来る?

中日の契約更改が揺れている。

1番打者として打線を引っ張り、リーグ4位の打率.318、2本塁打、28打点、28盗塁の成績を残した大島が1775万増の年俸7400万の提示額に難色を示し、年俸調停も辞さない姿勢を見せている。今季は2年ぶりにゴールデングラブ賞を受賞したが、報道によれば交渉の席で落合GMから「守備範囲が狭くなった。今年の守備なら俺だったら使わない」と言われたそうだ。各種のデータが揃う打撃成績と違い守備成績は失策数のみで判断されることがほとんど。守備範囲を正確に比べることは難しいが目安となる指標はある。レンジファクター(Range Factor)と呼ばれるもので、計算式は

RF=(刺殺+補殺)÷守備イニング×9

どれだけアウトに関与したかを示す指標。ただ奪三振能力の高い投手を多く擁するチームでは野手の打球処理機会が少なくなるし、フライピッチャーよりゴロピッチャーが多ければ内野への打球が増えるなど、守備能力以外にも投手の影響を受ける。”目安”としたのはそのためだ。守備範囲を比べる指標としては便利だが、守備イニングは打席数や投球回と違い調べることが困難。そこで

簡易版RF=(刺殺+補殺)÷出場試合数

を代用することが多い。式の性質上、途中出場や途中交代が多い選手は数値が低くなるためレギュラー選手以外を比べる時は注意が必要。また、刺殺のほとんどが三振によるものである捕手と内野手からの送球を受けたものである一塁手は守備範囲を表しているとは考えにくい。更にポジション毎に打球の飛びやすさに差があるため違うポジションの選手を比べても意味が無い。簡易RF5の二塁手は2.5の三塁手の倍、守備範囲が広いとは言えないからだ。

守備範囲が狭くなったと感じたのは昨季がキャリアハイだったから?

そんな簡易RFでゴールデングラブ賞を受賞した6人の外野手を比べてみると

セリーグ

丸(広島)2.09

大島(中日)2.11

大和(阪神)2.05

パリーグ

陽(日本ハム)2.28

糸井(オリックス)1.64

柳田(ソフトバンク)1.94

大島は優秀な数字を残していることがわかる。過去の成績を見ても入団1年目の2010年こそ途中交代も多く1.78となっているが2年目以降は常に2.0以上の数値を記録。今季も2.11と外野手として申し分無くアウト寄与に貢献している。ただ、昨季の簡易RFは2.36と非常に優秀で大島のキャリアハイだった。落合GMの目からすれば「大島なら捕れていた」と思う打球が多かったのは昨季の印象が強かったからなのかもしれない。今季の大島の簡易RFは2010~2013年までの平均値とほぼ同じ。あくまでも数字上の見解からだが、守備範囲が狭くなったとは感じられない。

外野守備は中日のアドバンテージ

そして更に中日には昨季の大島さえも超える優秀な数字を残した選手がいる。チーム最多となる68試合で4番を務め、打率.277、11本塁打、65打点の成績を残した平田だ。簡易RF2.4は12球団で断トツのトップ。奇しくも大島と同じく年俸調停必至のようだがセンター・大島、ライト・平田のコンビは中日のアドバンテージだ。それを示すデータもある。RF、簡易RFが個人の守備範囲を示すのに対し、DER(Defensive Efficiency Rating)はチーム全体の守備範囲を示す指標。

(打者数-被安打数-与四死球-奪三振数-失策)÷(打者数-被本塁打-与四死球-奪三振数)

で計算され、フェア地域に飛んだ打球をアウトにした割合を示す。数値が0.7ならここに飛んだらアウトという範囲がグラウンドの70%を占めるということになる。中日のDERはセリーグで唯一69%を超え堂々のトップ。本塁打の出にくいナゴヤドームを本拠地にしつつグラウンド面積の最も多くの部分をカバーしていたということになる。

もし仮に今回の一件で球団に不信感を抱き、数年後に2人共チームを去るような事態になれば間違いなく大きな損失。打撃成績と年俸のことばかりが注目されがちだが、今後の展開次第では中日のチームカラーにさえ影響しかねない。