統一球の影響を最も受けたのは実は日本ハム?
ボールが変わると年間500本塁打の違いが出る
反発係数が基準値を超えていた今季の統一球、バレンティン(ヤクルト)は83発ペースで本塁打を量産中。NPB全体でも低反発球が使われていた2011年、2012年の合計本塁打数に比べ、その前後2年間の合計は1096本も多い。球団別に低反発球が使用された2年間と前後2年間の合計本塁打数を比べると
巨人 169本
阪神 117本
ロッテ 107本
DeNA 105本
ソフトバンク 99本
オリックス 90本
楽天 87本
広島 86本
ヤクルト 83本
中日 78本
西武 55本
日本ハム 20本
の差がついた。東京ドームを本拠地にし、スタメンに長距離砲が並ぶ巨人が最も本塁打数に変化がある。阪神は2010年に173本だった本塁打数が2011年に80本と半分弱に、ロッテも126本から46本と約1/3に。西武が他球団と比べて差が少ないのは、全ての打者が苦しんだ2011年に中村が低反発球などどこ吹く風と1人で48発と圧倒的な本塁打を放ったため。
単純な本塁打数の増減では巨人が最も反発係数変更の影響を受けたように思えるが、興味深いのは日本ハム。2010年から2013年まで本塁打の増減は91→86→90→105本。長打率は.386→.356→.363→.368。12球団で唯一どちらもほとんど変化が見られない。ただし、順位は4→2→1→6位。他球団が打ちまくったシーズンは下位に沈み、打球が飛ばなくなると上位に君臨した。統一球の反発係数が変わっても他球団ほど打撃成績が向上も低下もしないという特徴が順位に直結。打撃成績が変化しなかったことにより、最も影響を受けたチームと言えるだろう。
被本塁打はセパでくっきり
低反発球が使われた2年間は規定投球回に到達した投手の半分近くが防御率2.50以下と投手有利のシーズンだったことがハッキリと示された。球団別に低反発球が使用された2年間と前後2年間の合計被本塁打数を比べると
広島 138本
巨人 119本
阪神、DeNA 115本
ヤクルト 106本
中日 98本
楽天 84本
日本ハム 80本
西武 77本
ロッテ 59本
ソフトバンク 56本
オリックス 54本
の差がついた。セリーグの方が明らかに被本塁打数に変化が見られる。セリーグの方が狭い球場が多いため、会心の当たりでなくとも数mの違いで入るか入らないかギリギリの打球がスタンドまで届くことが増えたのかもしれない。
増加した本塁打数から被本塁打数を引くと
巨人 +50本
ロッテ +48本
ソフトバンク +43本
オリックス +36本
楽天 +3本
阪神 +2本
DeNA -10本
中日 -15本
西武 -22本
ヤクルト -23本
広島 -52本
日本ハム -60本
こう見ても日本ハムの変化が最も大きい。イメージでは巨大戦力を誇る巨人、ソフトバンクが強く影響を受けそうだが、意外なことに日本ハムが最も影響を受けていた。