Yahoo!ニュース

東京五輪メンバーは6月22日に発表。久保、堂安、上田、田中碧らは当確も、サプライズ選出に5人を推挙

小宮良之スポーツライター・小説家
ジャマイカ戦でゴールを祝う堂安、上田、田中碧(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

6月22日に五輪代表メンバー発表

 東京五輪サッカー代表に選ばれる18人は大方、決まっている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/komiyayoshiyuki/20210610-00241846/

 吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航というオーバーエイジの3人、すでにA代表でも試合出場機会を重ね、海外でも実績を積んでいる久保建英、堂安律、冨安健洋の3人、国内組でプレーセンスの違いを示している上田綺世、田中碧、三笘薫の3人。そして18人で大会を戦うため、複数のポジションを担当できるポリバレントな能力を持つ旗手怜央、中山雄太、板倉滉の3人もほぼ当確だろう。そして6月シリーズの起用法を見ても、左サイドで得点源になっている相馬勇紀も有力か。

 これで13人だ。

 残り5人は、2人がGKで、3人がフィールドプレーヤーになる。現時点の実績で言えば、GKは大迫敬介、谷晃生の2人で、フィールドプレーヤーが守備の複数ポジションができる菅原由勢、野生的なストライカーの林大地、攻撃のユーティリティである前田大然の3人か。

「森保監督がA代表の活動を終えてから、もう一度じっくり話して決めることにしたい」

 選考基準を問われた横内昭展監督はジャマイカ戦後、そう言って明言を避けている。デリケートな問題なのだろう。

 森保監督は石橋を叩いて渡るタイプだが、Jリーグを何度も制した勝負師でもある。予定調和に過ぎると、組織が停滞することを心得ているだろう。なんらかの一手はあるはずだが…。

 そこで、サプライズ候補となる5人の名前を挙げたい。

サプライズ候補

○鈴木彩艶(浦和レッズ)or沖悠哉(鹿島アントラーズ)

 鈴木は史上最高の日本人GKのポテンシャルを持っているかもしれない。

 まず、体の使い方が群を抜く。ダッシュ力に優れることで一対一の間合いを制せるし、腕や足のパワーで球速に負けず、跳躍や反射神経にも優れる。単純にポジション取りも良いが、何より落ち着き払って見える。例えば、ジャマイカ戦は後半から出場し、特に見せ場はなかったが、一度プレスをはめられた時、うまく判断を変え、唸るような縦パスをつけた。

 鈴木はようやくJ1リーグでプレーするようになったばかりで、経験は乏しい。五輪代表での実績もないに等しいだろう。ただ、「18歳と若くまだ早い」と考えるか、「18歳の逸材に経験を」と考えるべきか。個人的には後者だ。

 沖は鹿島アントラーズというビッグクラブでレギュラーを張るだけあって、堂々と相手を併呑するセービングができる。一対一にめっぽう強く、鋭い反応でボールを弾ける。この年代では試合経験も豊富で、日々技術を上げつつあるGKだ。

 五輪のような大会で、沖は劇的な成長を遂げるのではないか。かつての川口能活に似たような、ゾーンに入ったスーパーセーブを見せられそうな気がする。

 大迫は実績抜群で、谷は足元の技術もうまく、現時点では二人が有力な本大会メンバーと言える。ただ、大迫はここ1年は足踏みしているような印象。また、谷は現代的GKで実力者だが、ハイボールの飛び出しの不用意さは目に余る。ガーナ、ジャマイカ戦と連続して、フラフラとCKに出て、ボールに触れていない。トップレベルでは失格の烙印を押されかけないミスだ。

 最終選考で、4人はシャッフルされるかもしれない。

○瀬古歩夢(セレッソ大阪)

 瀬古はユーティリティ性は低いディフェンスだろう。その点、中山、板倉、菅原がファーストチョイスかもしれない。しかし左のセンターバックとしての存在感だけで見た場合、瀬古は異彩を放つ。イタリアで活躍する富安が怪我や出場停止になった時、代役ではなく確実にバックアップできる選手だ。

 人に対して強いディフェンスが持ち味で、空中戦も負けない。ジャマイカ戦も後半に交代出場してみせたように、サイドチェンジのボールの質は欧州のトップレベルに比肩する。速く強く、正確なキックが蹴れるのだ。

 C大阪でミゲル・アンヘル・ロティーナ監督に鍛えられた「守備から攻撃の土台」は安心保証と言える。

○中野伸哉(サガン鳥栖)

 中野は17歳の左サイドバックで、日本サッカーの未来を担う大器と言える。左利きだが、右も遜色なく蹴れる。敵にとっては的を絞れない。瞬間的なスピードは恐ろしく速く、一対一を制することができる。

 今シーズンのサガン鳥栖では、左センターバックを担当。この若さでセンターバックとして、プレーの強度でも互角の戦いを演じているわけで、底が知れない。左ウィングバックもできるはずで、なんなら天性のポジショニングの良さがあるだけに、右サイドバックやボランチやサイドハーフでも良い判断、選択ができるだろう。相手の力を利用し、簡単に入れ替われるセンスは白眉。サッカーセンスの塊だ。

 今年6月の五輪メンバーには選ばれていない。左サイドバックは、オールマイティでキャプテンも務めてきた中山、同じくFWからDFまで幅広い旗手がいるだけに十分とも言える。しかし中野は左サイドバックを本職に、長友佑都の後を15年は務められる素材だ。

○安部裕葵(バルセロナB)

 安部は今年6月のメンバーには入っていない。昨年12月にハムストリングのケガで長期離脱を余儀なくされ、今年4月にようやく復帰したばかり。コンディションを考えれば、メンバー外は仕方ないところだ。

 しかし、その実力は折り紙付き。実際に、一昨年のコパ・アメリカでは主力選手の一人だった。久保と双璧をなすような存在だったのだ。

 その力は衰えていない。所属するバルサBでは今年4月に復帰後、2部昇格プレーオフに出場し、攻撃のポリバレントとしてチームに貢献。準決勝に勝ち進み、スタメン出場を果たしたが、 PK戦の末にチームは敗れ去った。

 バルサBではゼロトップを担当する機会が多く、戦術的理解度の高さと技術は高く評価されている。実質3部でのプレーだったことで、評価は低い。しかしバルサのセカンドチームで2部昇格を争ったことは、ベルギーやスイスのような中堅1部リーグと同等の成果とみなすべきだ。

 五輪代表でも、安部は切り札になりうる。個人的にFWは上田、林、そして安部を推挙するが…。

 5人のうち、一人でも入ればサプライズと言えるだろう。実力的には何ら不思議ではない。彼らのような伏兵が、大会ではラッキーボーイになるはずだ。

スポーツライター・小説家

1972年、横浜生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。競技者と心を通わすインタビューに定評がある。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)『アンチ・ドロップアウト』(集英社)。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。他にTBS『情熱大陸』テレビ東京『フットブレイン』TOKYO FM『Athelete Beat』『クロノス』NHK『スポーツ大陸』『サンデースポーツ』で特集企画、出演。「JFA100周年感謝表彰」を受賞。

小宮良之の最近の記事