米CNBCによると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、米アップルのスマートフォン「iPhone」の出荷が滞ると著名アナリストが指摘している。

 これは、アップル製品の市場動向やサプライチェーン情報に詳しい中国TFインターナショナル証券のミンチー・クオ氏が予測したものだ。

 2020年1~3月期の出荷台数は、従来予測を10%下回る3600万~4000万台になると同氏はみているという。

iPhone製造の鴻海、3月末のフル稼働を見込む

 しかし、その後の報道によると、影響はより大きく、長期に及ぶ様相を呈している。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、iPhoneの組み立てを請け負う、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)は操業を再開しているものの、現在は通常時の5割の生産能力で稼働している。

 鴻海の劉揚偉董事長(会長に相当)は3月3日に開いた投資家向けの電話会議で、中国工場が通常の生産体制に戻るのは3月末だと説明した。

 

 同国では、春節(旧正月)に合わせた連休が延長され、多くの都市で、2月9日まで工場の操業再開を禁止した。ホンハイは敷地面積140万平方メートル(東京ドーム約30個分)の施設を河南省の省都、鄭州市に持つが、ここでも同様の通達が出された。

隔離措置と移動制限

 英フィナンシャル・タイムズによると、鄭州市政府は2月4日に自主的な在宅隔離の通達を出した。

 これにより、河南省の他の都市から戻ってきた従業員は7日間、自宅にいなければならなかった。河南省以外の、より感染が拡大している地域から戻ってきた人は14日間、自身を隔離しなければならなかった。

 ホンハイは他の十数の省にも大規模な工場を持つが、そちらでも同様の規制が設けられた。中国では、さまざまな都市で移動制限が出された。道路が封鎖され、工場の再開までに戻ってくることができない従業員もいたという。

製造拠点の変更も困難

 こうした中、たとえ、アップルなどの顧客企業が、製造拠点や製造業者を他の都市や他社に変更したいと考えたとしても、それも困難な状況だという。

 そのためには、技術者を派遣しなければならず、本格的な生産体制を構築するまでに数カ月かかるからだ。また、そもそもアップルなどの外国企業は従業員の中国への渡航を制限している。

 浙江省や広東省、河南省などの感染者の多い省は、いずれもテクノロジー企業にとって重要な製造拠点。「今回の事態は明らかに大問題だ」と、投信調査会社モーニングスターのアナリストであるドン・ユー氏は話している。

  • (このコラムは「JBpress」2020年2月7日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)