アップルがレコード会社悩ます新サービス計画中、“スーパー・バンドル”登場か

アップル、動画配信参入や定額ゲームサービスなど発表 (March 2019)(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルは11月1日にサブスクリプション形式(定額制)の動画配信サービス「Apple TV+」を始めた。月額4.99ドル(日本では同600円)という他社を下回る料金や、iPhone、iPad、Macなどの同社製品の購入者に対する1年間の無料視聴という特典を武器に、利用者数を一気に拡大させたい考えだ。

動画と音楽のバンドルサービスを計画

 こうした中、同社はもう1つの仕掛けを準備しているようだ。英フィナンシャル・タイムズによると、同社は動画配信と音楽配信を組み合わせた、新たなサブスクリプションサービスを計画中だという。

 今のアップルは、短期的な利益よりも会員数の拡大に関心がある。そのため、動画と音楽のバンドルサービスは、低料金で提供されるとみられている。これは消費者にとってうれしい話だが、レコード会社にとっては大きな懸念材料だという。

 また、アナリストらはアップルがゆくゆくは、あらゆる同社サービスを組み合わせた“スーパー・バンドル”とも呼べるサブスクリプションを提供すると予測している。これには、動画や音楽の配信のほか、雑誌や新聞の読み放題サービス「News+」、ゲーム配信の「Arcade」、アップル製品の保証とサポートサービス「AppleCare+」などが含まれるという。

アップル、大手レコード会社に打診

 フィナンシャル・タイムズによると、アップルは新たなバンドルサービスについて、すでに大手レコード会社に打診している。今のところ金額の交渉には至っていないが、アップルの構想に耳を傾けているレコード会社もあるという。

 その一方で、一部の大手企業の幹部らは自社の収益減少につながるとみて警戒心を抱いている。

 レコード業界は、スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)時代、ダウンロード楽曲1曲の料金を99セントにすることを余儀なくされた経緯がある。

 当時は音楽CDをリッピングしたファイルがネット上にまん延し、レコード会社の収益を圧迫していた。その後、ダウンロード販売が始まるとともに、違法コンテンツ撲滅に向けた取り組みも進み、デジタル海賊版は減っていった。

 しかし、レコード会社の収益は右肩下がりで推移した。ダウンロード販売がCDの落ち込みを補えなかったからだ。

レコード音楽の市場規模、ピークから半減

 最近は、ダウンロード販売も落ち込みが激しい。全米レコード協会(RIAA)によると、昨今の有料ストリーミングサービスの隆盛で米レコード産業に回復が見られるものの、市場規模はCD全盛の1999年と比べて、ほぼ半分に縮小した(図1)。

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 こうした中、大手レコード会社の幹部らにとって、アップルが計画しているとみられる低料金のサービスは受け入れ難いものになるとフィナンシャル・タイムズは伝えている。