後発のアップルが世界最大の音楽市場で快挙となった理由

アップル渋谷 2018.10.26(写真:つのだよしお/アフロ)

 スウェーデンのスポティファイ(Spotify)が、欧州の数カ国で音楽ストリーミング配信サービスを始めたのは、2008年10月。同社が世界最大の音楽市場である米国に進出したのは2011年7月。それ以来、同社サービスの会員数は右肩上がりで推移している。

 そして、米アップルが同様の音楽ストリーミング配信サービス「Apple Music」を始めたのは、2015年6月。こちらもその後、会員数が増え続けている。

 ただ、スポティファイの世界有料会員数は1億人で、アップルの世界会員数は約5000万人。アップルは、依然、スポティファイの後塵を拝している(図1)。

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 しかし、米ウォールストリート・ジャーナルによると、Apple Musicの米国会員数がこのほど、スポティファイの有料会員数を上回った。

アップル2800万人、スポティファイ2600万人

 アップル、スポティファイはともに、地域別の会員数を公表していないが、今年2月、Apple Musicの米国会員数が2800万人となり、スポティファイの2600万人を上回ったことが、事情に詳しい関係者の話で分かったと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

 それによると、Apple Musicは毎月、2.6~3%増のペースで会員数を増やしている。これに対しスポティファイの増加ペースは、同1.5~2%。

 なお、スポティファイには、広告付きの無料版サービスがあり、そちらの会員数を含めると、Apple Musicを上回る。Apple Musicには無料のキャンペーン期間やトライアル期間はあるものの、無料サービスはない。

 昨今のレコード(録音)音楽市場では、有料ストリーミング配信が最大の収益媒体となっている。その昨年における売上高比率は世界全体で37%。この数値は、米国では55%となり、初めて過半を占めた。こうした中、有料会員の数は、音楽市場で最も注目される指標になったと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

世界で14億台が稼働するアップル製機器

 Apple Musicは、「iPhone」の利用者が多く、ダウンロード音楽「iTunes Store」の人気が高かった国で、勢いが増しているという。現在、米国で利用されているiPhoneの台数は1億100万台。世界では、9億台になる。

 またタブレット端末「iPad」やパソコン「Mac」も含めるとアップル製機器は、世界で14億台が利用されている。同社はこうした稼働台数の多さを背景に、Apple Musicの会員数を増やしている。

サービスを他社プラットフォームに開放

 Apple Musicは、米グーグルのOS「Android」搭載端末にも提供されている。モバイルアプリのマーケティング会社、米センサー・タワーによると、Android向けApple Musicアプリは、これまでグーグルのアプリストア「Google Play」で、4000万回ダウンロードされた。

 アップルは先ごろ、映像配信サービスのアプリ「Apple TV」を刷新し、ソニーや韓国サムスン電子、韓国LGエレクトロニクスのテレビ、米アマゾンや米ロク(Roku)の映像配信端末などにも提供すると発表した。

 こうした、プラットフォームの垣根を越えた戦略が、サービス事業の成功につながると同社は考えている。

  • (このコラムは「JBpress」2019年4月11日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)