進む、「拡張現実」「仮想現実」の産業利用 2019年の市場規模は2兆円超に

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 米国の市場調査会社IDCによると、AR(Augmented Reality、拡張現実)とVR(Virtual Reality、仮想現実)の機器やソフトウエア、サービスに対する全世界の支出額は、今年(2019年)200億ドル(約2兆1700億円)の大台を突破する見通しだ。

 こうして市場は今後も高い伸び率で推移し、その2017年から2022年までの年平均成長率は、69.6%になると予測している。

AR、VRとは

 ARは、目の前の現実の環境にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術。例えば、メガネ型や透過型ヘッドマウントディスプレーなどの情報機器を使い、現実の風景にさまざまな情報を表示すれば、工場などの作業現場で業務の効率化が大幅に向上するとして、今後の可能性が期待されている。

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 一方、VRは、目の前にある実際の場面から離れ、完全にデジタル世界に没入するという技術。これを実現する市販製品としては、米フェイスブック傘下のオキュラスVRや、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)などが販売するヘッドマウントディスプレーがある。

法人の支出額が拡大

 IDCによると、この市場では、法人のこれら技術への支出額が増えている。ARとVRを合わせた法人支出額は、今年、市場全体の64.5%を占め、2022年には80%に拡大すると予測する。

 この市場で最も支出額が多い産業分野は、「個人/消費者向けサービス業」。その今年1年間における支出額は16億ドルだという。

 そして、そのあと「小売業」の15億6000万ドル、「ディスクリート型製造業(自動車、機械、電子機器などの製造)」の15億4000万ドルが続くとの予測だ。

 また、2022年までの年平均伸び率が100%を超える分野、つまり今後毎年、金額が2倍以上のペースで増えていく分野には、「資源産業」「卸売業」「政府機関/地方自治体」などがあるとしている。

消費者支出額、どの産業分野も上回る

 一方、この市場では依然として、消費者の支出額が、どの産業分野のそれを上回っている。

 今年の推計支出額をユースケース別で見ると、1位から、「VRゲーム(40億ドル)」「映像コンテンツ(20億ドル)」「ARゲーム(6億1600万ドル)」の順。

 これらは、いずれも消費者が直接、商品やサービスを購入することで、もたらされる金額だ。

 そして、そのあとは、「企業の社員研修・技能訓練」で、金額は18億ドル。また、今後は、「小売業のオンライン商品展示」や「企業の保守・点検業務」といった用途も増えていくとIDCは見ている。

 とりわけ、保守・点検業務への支出額は、2022年にも、ARゲームと同規模になるという。

国別支出額、日本は3位に

 また、支出額を国別で見ると、最も多いのは米国で、その今年の推計額は66億ドル。このあと、中国の60億ドルが続く。3位は日本の17億ドル6000万ドルになるとIDCは見ている。

 一方で、最も支出額の伸びが大きいのはカナダで、その2022年までの年平均伸び率は83.7%。カナダの支出額は、やがて日本を上回ることになると、同社は予測している。

  • (このコラムは「JBpress」2018年12月11日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)