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iPhone X、販売ランキングでGalaxy S9に抜かれる

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
Apple Chief Executive Officer, Tim Cook(写真:ロイター/アフロ)

 香港の市場調査会社、カウンターポイント・テクノロジー・マーケットリサーチのレポートによると、今年4月における、スマートフォンの機種別世界販売台数ランキングは、韓国サムスン電子の「Galaxy S9」「同S9+」が、米アップルの「iPhone X」を上回った。

首位奪われるもiPhoneシリーズの人気根強く

 iPhone Xは、3月時点で首位だったが、4月はシェアが低下し、3位に後退した。カウンターポイントによると、その要因は季節的なものという。

 アップルがiPhone Xを発売したのは、昨年11月初旬。つまり、同モデルは市場投入されてから、この時点で半年が過ぎた。

 一方、サムスンがGalaxy S9シリーズを市場投入したのは今年3月。Galaxy S9シリーズは、その翌月に好調に売れ、iPhone Xを抜いた。

 ただ、iPhoneシリーズには依然、根強い人気がある。例えば、昨年9月に発売された「iPhone 8 Plus」と「iPhone 8」の4月時点の販売ランキングは、それぞれ4位と5位。

 また、旧モデルの「iPhone 6」と「iPhone 7」は、それぞれ7位と9位。iPhoneシリーズはスマートフォン上位10機種の中に5機種が入っている。これに対し、サムスンは3機種、中国シャオミ(小米科技)は2機種となっている。

上位10機種はアップルとサムスンのみ

 別の調査会社である英IHSマークイットも、同様にスマートフォンの機種別出荷台数ランキングをまとめている。

 こちらは、今年1〜3月期のデータだが、興味深いのは、上位10機種のメーカーが、すべてアップルとサムスンであるということ(図1)。

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 上位5機種は、「iPhone X」「iPhone 8」「Galaxy Grand Prime Plus」「iPhone 8 Plus」「Galaxy S9+」の順。6位以降には、サムスン製品が3機種、アップル製品が2機種入っている。

 IHSマークイットによると、中国メーカーも出荷台数を増やし、シェアを伸ばした。だが、個々のモデルで、アップルとサムスンに匹敵するものがなかったという。

スマホの売れ筋、二極化進む

 ここで、IHSマークイットは興味深い指摘をしている。今年1〜3月期におけるアップルの新モデルの出荷台数は2120万台だったが、これは1年前の新モデルの出荷台数(3560万台)を大きく下回る。

 アップルのiPhoneはここに来て、価格が下がった旧モデルがよく売れるようになった。

 一方で同社は、価格を引き上げたiPhone 8シリーズと、超高額なiPhone Xによって高い利益を得ている。これがアップルの業績が向上した要因だと、IHSマークイットは分析している。

 今のアップルの製品戦略が、よく分かる分析と言えそうだ。前述したカウンターポイントのレポートによると、人気スマートフォンは、ここ最近、高価格端末と低価格端末への二極化が進んでいる。

 例えば、この4月、シャオミは、機種別世界販売台数ランキングで2機種が上位に入った。シャオミの製品が2機種トップ10に入るのは初めてのこと。中国とインドで、シャオミの低価格モデルが好調だったことが、その理由だと、カウンターポイントは指摘している。

(このコラムは「JBpress」2018年6月14日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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