技術革新の鈍化は市場成長の鈍化。AppleとGoogleはどう対処する?

(写真:ロイター/アフロ)

 米国の市場調査会社CIRPが先ごろまとめた、スマートフォンOSへの忠誠度に関する調査によると、同国では、米アップルの「iOS」よりも、米グーグルの「Android」を利用するユーザーの方が、同じOSを使い続ける人が多いのだという。

忠誠度はAndroidがiOSを上回る

 昨年12月に行ったアンケートでは、過去1年間にスマートフォンを買い替えた人のうち、自身の前のモデルと同じOSを選んだという人は、Android利用者で91%、iOS利用者で86%いた。

 CIRPはこの調査を継続して行っている。これまでの調査結果を見ると、2016年1月から2017年12月までの期間における忠誠度比率は、Androidが89~91%の範囲、iOSが85~88%の範囲で推移している。

 米オールシングスDの過去の記事を見ると、この比率は2012~2013年時点ではiOSの方が高かった。

 しかし、2014年にAndroidが急上昇し、その後一貫してAndroidがiOSを上回っている。

 その理由の1つとしてCIRPは、Androidには利点があると指摘する。

 OSやアプリといった使用環境を変えることなく、さまざまなメーカーのさまざまな機種に乗り換えることが可能だからだという。

なぜ、同じOSを使い続けるのか?

 ただ、いずれにしても、両OSに対する忠誠度は、かつてないほどの高いレベルに達し、近年は安定していると同社は指摘している。

 この市場には、かつて、米マイクロソフトやカナダ・ブラックベリーなどのOSがあった。しかし、今はAndroidとiOSが市場を支配している。

 こうした中、両OSで利用できるアプリ、音楽、動画といったサービス、使い勝手などには、かつてのような差が見られなくなってきた。

 つまり、利用者には、別のOSに切り替える動機づけがない。

 これまでアプリなどに投じてきたお金を無駄にするのも、もったいない。こうした理由から、利用者は同じOSを使い続けるのだという。

技術革新の鈍化は市場成長の鈍化

 ただし、この状況はアップルやグーグルにとって決して良いことではない。

 スマートフォンについては、そのハードウエアの技術革新ペースが近年、鈍化してきたと指摘されている。

 今回のCIRPのレポートを見ると、OSなどのソフトウエアについても、同じことが起きていると言えそうだ。

 これに伴い、スマートフォンの買い替え周期は、今後さらに長期化していくことが予想される。米IDCによると、昨年1年間の世界スマートフォン出荷台数は、前年から0.5%減少した(図1)。

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 こうして出荷台数が前年実績を下回るのは、IDCが統計を取り始めて以来初めてのこと。

 アップルとグーグルは、この状況を、その企業戦略として、どう打開できるのか。

 例えば、アップルは、最近、サービス事業の拡大を図っているが、その理由の1つには、こうしたスマートフォンを取り巻く市場環境の変化があるのかもしれない。

(このコラムは「JBpress」2018年3月15日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)