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iPhoneは年末商戦でプラス成長に回復できるのか?

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:アフロ)

 米国の市場調査会社IDCが、先ごろまとめた今年(2017年)7〜9月のスマートフォン市場レポートによると、この期間に世界で出荷されたスマートフォンの台数は3億7310万台で、1年前から2.7%、前の四半期から7.4%増加した。

 1年前の7〜9月期と比べた伸び率は小幅にとどまったものの、こうしてプラス成長で年末商戦の四半期を迎えられたことは、市場が依然、勢いがあることを示していると、IDCは指摘している。

iPhoneの伸び率はわずか2.6%

 今年7〜9月に出荷台数が多かったメーカーは、1位から順に、韓国サムスン電子、米アップル、中国ファーウェイ(華為技術)、中国オウポ(広東欧珀移動通信)、中国シャオミ(小米科技)。

 これら上位5社の中で、1年前から最も成長したのはシャオミだ。その伸び率は102.6%と、2倍以上。また、ファーウェイとオウポも、それぞれ16.1%、19.0%と、2桁の伸び。これに対し、サムスンとアップルは、それぞれ9.5%と2.6%と1桁の伸びだった。

別の調査会社、米ガートナーも同様の市場調査結果を公表している
別の調査会社、米ガートナーも同様の市場調査結果を公表している

インフォグラフィックス出典:ドイツStatista

初めて前年割れを経験したiPhone

 実は、アップルの2016年における販売台数は、2億1539万5000台で、前年実績から約7%減少。iPhoneの年間販売台数は2007年の初代機発売以来、右肩上がりで伸びてきたが、昨年は初めて前年割れを経験した。

 こうした中、iPhoneは、今年4〜6月に前年同期比でプラス成長に回復。この7〜9月もプラス成長し、2四半期続けて前年実績を上回ったというわけだ。

ラインアップ拡充の10〜12月に期待

 アップルは今年初めて、秋の新製品イベントで3つのiPhoneを発表した。(1)iPhone 8(2)同8 Plus(3)iPhone Xである。iPhone 8シリーズの発売日は9月22日だったため、前述したIDCのレポートには、9日分の販売実績しか反映されていない。また、iPhone Xの発売日は11月3日だったため、こちらはまったく反映されていない。

 このような状況の中、この10〜12月期は、これら新モデルの販売が反映されるとともに、年末商戦もある。iPhone Xの発売日には、世界のアップル直営店に長蛇の列ができたと報道されていることから、10〜12月は大きく伸びるのかもしれない。

 IDCは、iPhone 8、同8 Plus、iPhone Xがアップルの業績向上に寄与し、今年におけるiPhoneの年間台数は、前年比2.4%増、来年は同8.1%増に拡大すると予測している。

(このコラムはJBpressに2017年11月17日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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