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北朝鮮屈指の重要工場で原因不明の爆発、15人死傷

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
金正恩氏(朝鮮中央通信)

建設機器や鉱山設備を製造する北朝鮮屈指の重要工場で爆発事故が起き、多くの死傷者が出ている。平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

事故が起きたのは12月19日の午後。楽元(ラグォン)機械連合企業所で爆発が発生、労働者5人が死亡し、10人が負傷した。情報筋は、この20年来で最悪の事故だとし、爆発の規模については工場が全焼するほどではなかったものの、多くの設備が損傷したと説明した。

広大な敷地には、精密加工、一般機械、油圧器具、減速機、シリンダーなど複数の工場があるが、爆発が起きた正確な位置はわかっておらず、また、原因についても情報筋は触れていない。

(参考記事:通勤列車が吹き飛び3000人死亡…北朝鮮「大規模爆発」事故の地獄絵図

他の事例から考えると、ありえる原因としては、独自技術の開発を急かされ、準備が整っていないのに実験を行ったことや、国家経済発展5カ年計画の初年度の計画(ノルマ)を達成するために、機械に過負荷がかかるほどの無茶な操業をしていたことなどが挙げられる。

質や安全よりもスピードを重要視する「速度戦」や、技術水準が低いのに、部品などの国産化を強いる「自力更生」など、現場の声より思想や上からの命令を重要視する、北朝鮮の経済構造そのものが、事故をもたらしているのだ。

原因はどこにあれ、人命を奪い、機械を損傷させた責任は誰かが負わなければならず、情報筋は、誰かが責任を取らされて辞めさせられることになると見ている。

既に、朝鮮労働党の工場内の書記と責任班長2人が撤職(解任)されており、イルクン(幹部)としての資格がないとして、他の機関に飛ばされてヒラ労働者として厳しい肉体労働を強いられることになると思われる。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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