北朝鮮、制裁で農業資材の輸入がほぼゼロ…今年も凶作か

三池淵郡の中興農場を視察した金正恩氏(2018年7月10日付朝鮮中央通信)

北朝鮮では地域に多少の違いがあるが、5月中旬から6月中旬にかけて田植えが行われる。当局は農村支援と称して、都市から労働者を大量に送り込み田植えに当たらせる。しかし農業の素人にまともな仕事ができるわけもなく、働かずにサボっている人も多い。

それはさておき、本来なら各農場とも「田植え戦闘」に向けて苗代の準備で大忙しのはずだが、今年は少し様子が違うようだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

中国遼寧省丹東で北朝鮮貿易に携わる情報筋によると、稲の苗を植える苗代に使うビニール膜の注文が、北朝鮮の貿易会社から全くと言っていいほど入ってこないというのだ。

田植え日時を5月10日に設定すると、苗代への籾まきは今月の10日から15日にやらなければならない。中国から苗代用のビニール膜を出荷するのは3月中のことだ。ところが、情報筋の貿易会社にも、他の会社にも注文がほとんど入ってきていないという。

もし、今から注文が入ってきたとしても、出荷するまでには少なくとも1週間以上かかる。それが4月の第1週なら、第2週にはなんとか輸出できるが、ビニール膜が直接農場に届けられるわけではなく、当局が配布する形となっているため、田植えのスケジュールが極めてタイトとなる。

田植えが遅れることになれば、草丈が伸びて強風で倒れやすくなり、質も悪くなり収穫量も減る。また、もともと降水量が少ない上に、近年は少雨に悩まされている北朝鮮では、田植えができる日は限られている。つまり、すでに今の時点で今年が凶作となるおそれが高まっているということだ。

丹東の別の業者は、注文が入ってこない理由として「制裁で外貨が不足しているのに、前払いを求められるため」と推測した。

中国の貿易会社は北朝鮮の貿易会社に対して、ビニール膜の代金の半額以上の先払いを要求する。代金の踏み倒しなど、何度も痛い目に遭ってきたからだ。しかし、国際社会の制裁で青息吐息の北朝鮮の貿易会社には前払いする余裕はなく、注文ができないというのだ。注文できないのは、化学肥料も同じだという。

一方、資材を受け取る側の北朝鮮の農場はどのような状況なのか。

北朝鮮の農場は、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころから、自主的に予算を確保することを強いられるようになった。そのため、ビニール膜、肥料、農薬はトンジュ(金主、新興富裕層)からカネを借りて行っているのである。

(参考記事:穀物1キロで売られる娘たち…金正恩式「恐怖政治」の農村破壊

今年の状況はまだ不明だが、昨年の平安南道(ピョンアンナムド)文徳(ムンドク)郡の協同農場は、農業機械の部品、肥料、農薬など何も準備できていない状況で田植えを迎えることとなった。農場に予算がないばかりか、あったとしても市場にモノがない状況だったからだ。