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振り込め詐欺で逮捕されていた金正恩「性犯罪幹部」ファミリー

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
金正恩氏(朝鮮中央テレビ)

北朝鮮の金正恩党委員長の側近のうち、いま国際的に活躍が注目されているのは朝鮮労働党副委員長の金英哲(キム・ヨンチョル)、李スヨンの両氏、それから李容浩(リ・ヨンホ)外相といったところだろうか。

その一方、一時は金正恩氏に次ぐ「ナンバー2」などと言われながら、いまひとつパッとしない大幹部がいる。崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長だ。対中外交ではそれなりの仕事を任されることもある崔氏だが、対米、対韓国ではまったく目立たない。

それもそうだろう。崔氏の「異常性欲」とそれに関わる悪行歴は、国外にもしっかり伝わっているからだ。

(参考記事:美貌の女性の歯を抜いて…崔龍海の極悪性スキャンダル

金正恩氏の父・金正日総書記からしてそうだったが、北朝鮮の権力者は、異性関係に関してやりたい放題だ。

(参考記事:【動画アリ】ビキニを着て踊る喜び組、庶民は想像もできません

時には暴走の度が過ぎて、犯罪的な行為に及ぶこともある。

(参考記事:「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」北朝鮮権力層の猟奇的な実態

その中でも特にひどいと言われるのが崔氏だ。さすがに金正日氏の目にも余ったらしく、失脚も経験している。それでもなお、大幹部の地位を保っていられる最大の理由は、父である崔賢(チェ・ヒョン)元人民武力部長が、金正恩氏の祖父・金日成主席の抗日パルチザン時代からの戦友だったという毛並みの良さにある。加えて、崔氏の妻が舞踊家出身であり、同じく舞踊家出身である金正恩氏の母・高ヨンヒ氏と近かったとの説もある。

このように北朝鮮においては、家族・親戚関係のコネが非常に大事な意味を持つのだが、崔氏のファミリーにもうひとり、国際的に名を知られるようになった「不良」がいることがわかった。

韓国の釜山警察は6月22日、中国・黒竜江省出身のオ・ギボム(44)なる男を逮捕した。容疑は、「ボイスフィッシング」で詐取した約5000万ウォン(約512万円)を金融機関から引き出そうとしたというものだ。

ボイスフィッシングとは、日本で言う「振り込め詐欺」である。北朝鮮や韓国と同じ言語を使う中国朝鮮族の一部が、韓国人を狙ったこの犯罪に手を染めているとされる。オ容疑者も、その一員なのだろうか。

そして韓国メディアの報道によれば、オ容疑者の祖母は崔ジョンへと言い、崔賢氏の妹に当たるという。崔賢氏の生まれは、中国東北地方とされている。

オ容疑者はもともと水産物などを扱う対北朝鮮貿易に従事していたとされるが、事業に行き詰まり、犯罪に手を染めたもようだと言う。まがりなりにも北朝鮮の大幹部である従伯父(じゅうはくふ)は、救いの手を差し伸べてやれなかったのだろうか。

(参考記事:「あまり美人に育たないで」北朝鮮の親たちが娘の将来を案じる理由

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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