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北朝鮮で「ポケモンGO」を試した結果は?…独自のSNSも開発

高英起デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
金正恩氏

世界中で大人気となっているゲームアプリ「ポケモンGO」。デイリーNKジャパンは、北朝鮮がプレイ可能地域に分類され、実際にプレイができる可能性を指摘した。

(関連記事:金正恩氏、スマホ片手に父の眠る墓地でポケモン探しか?

しかし、やはりというべきか「不可」であることが確認された。

LINE使えばスパイ

シンガポールに北朝鮮の青年向けにビジネス研修を提供する「チョソン・エクスチェンジ」(Chosun Exchange) 」というNGOがある。同NGOが主催する短期間のMBA研修には北朝鮮の経済官僚らが参加するなど、北朝鮮指導層に最も食い込んでいるNGOの一つだ。

「チョソン・エクスチェンジ」の1人は、早くも北朝鮮で「ポケモンGO」にチャレンジ。その結果は「北朝鮮でポケモンを捕まえようとしたが、悲しいかな作動しなかった」という。

(参考記事:ポケモンGO、北朝鮮ではプレイ不可

そもそも、北朝鮮ではインターネットすら一般庶民には開放されていない。中朝国境などで違法携帯を利用してコミュニケーションアプリのLINEやカカオトークを使っていると「スパイ活動に利用される」として、取り締まりに引っかかるケースもあるのだ。

(参考記事:「LINEを使う人間はスパイ」金正恩体制が宣言

中国でネットにアクセスする秘密警察

こうしたなか、北朝鮮当局は、独自のコミュニケーション・アプリ、その名も「セビョル(新星)」を開発。セビョルは、チャット、画像や音声ファイルの転送など、機能的にはLINEとさほど変わりないという。ただし、内部情報筋によると、一般人の使用に関しては厳しく制限されているという。

北朝鮮当局は、こうしたアプリだけでなく、海外通話などを厳しく制限している。しかし、中国に駐在する幹部や秘密警察・国家安全保衛部の要員は、サムスンやLGなど韓国製のスマートフォン使い、密かにインターネットにアクセスしながら、海外の北朝鮮報道を検索、分析しているようだ。

情報収集が使用目的だが、ほぼ間違いなく「閲覧してはならないサイト」にアクセスしているだろう。

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。

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