地雷で吹き飛ぶ韓国軍兵士…衝撃映像で懸念される南北の「報復連鎖」
韓国京畿道(キョンギド)の非武装地帯(DMZ)内で4日、韓国軍の20代の下士官2人が地雷を踏み爆発。足を切断するなどの大けがを負う事故が起きた。
この件を巡り、韓国国防部は10日、爆発物の残骸を分析した結果、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の対人地雷と一致したことを発表。また、在韓国国連軍司令部の指示で設置された調査チームも、地雷が仕掛けられたのは最近であり、洪水などで北朝鮮側から流れ着いたり、過去に埋められたりした地雷が爆発した可能性はないとしている。
実は、朝鮮人民軍は去る4月から、DMZで不審な動きを見せていた。軍事境界線の西部から東部までにわたり、5人~20人単位で近接偵察と何らかの作業を繰り返していたのだ。
DMZでは近年、朝鮮人民軍が徒歩で南側に入り、亡命するなどの出来事が相次いでいる。それにまったく気付かない韓国軍の警備の欠陥が指摘されていた一方、北朝鮮側の士気の緩みにも深刻なものがうかがえる。
そうしたこともあり、韓国側では当初、北朝鮮が兵士の脱北防止のために地雷を埋設しているものと見ていたフシがあるのだが、今回の出来事により、事態は一転して南北の対決モードに突入してしまった。
韓国軍は、北朝鮮の地雷が爆発し、兵士らの身体が吹き飛ばされる瞬間の動画を公開している。仲間が傷つけられる場面を見た将兵の中には、強い復讐心を抱く者も少なくないだろう。
韓国軍は報復措置として、軍事境界線付近での拡声器による心理戦「対北朝鮮拡声器放送」を11年ぶりに再開すると発表している。北朝鮮は、こうした放送に対して「最高尊厳に対する冒涜」「反共和国謀略戦」などと警戒しており、2004年6月の南北合意で中断されていた。
放送が再開されれば、北朝鮮が何らかの「再報復」に動く可能性は低くない。
報復の連鎖が、さらなるエスカレーションにつながることが懸念される。