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伊達&ヨネックスJrプロジェクト初の2期生から継続で3期生になった、石井心菜の意外な本音【テニス】

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
3期生としてプロジェクトに参加する石井心菜(一番右)(写真すべて/神 仁司)

 元プロテニスプレーヤーの伊達公子氏が、生涯契約を締結しているヨネックス株式会社と組み、2019年1月に発足させた、日本女子ジュニア選手を対象とした育成プロジェクト「伊達公子×ヨネックスプロジェクト~Go for the GRAND SLAM~」は、2023年12月より3期生を迎えて、第1回キャンプ(2023年12月25~26日、東京・有明テニスの森公園インドアテニスコート)が開催された。

 2021年から2期生として参加していた石井心菜(いしいここな)は、引き続きプロジェクトメンバーに選ばれ、3期生として参加していく。

「私は入ろうかなと思っていたけど、伊達さんが『入って』と言って後押ししてくれました」

 こう語った石井心菜の父親は、元プロテニスプレーヤーの石井弥起氏だ。父親のDNAを引き継いだ石井心菜は、2021年に、全国小学生テニス選手権と全国選抜ジュニア12歳以下の女子シングルスで優勝して、才能の片りんを見せていた。

 さらに、2023年シーズンには、ITFジュニア大会(J30、ジュニア国際大会の一番下のグレード)で3回優勝して、ITFジュニアランキングを600位(2023年12月25日付)まで上昇させた。

 特に、2023年12月に開催されたITFジュニア松山大会(愛媛県)での優勝は、13歳の石井にとって大きな意味のあるものになった。松山大会は、伊達氏とヨネックスによるジュニアプロジェクトに関連して2020年から創設された大会で、だからこそプロジェクトメンバーの石井だけでなく、伊達氏にとっても、意味のある優勝になった。

「プロジェクトを立ち上げて、大会も作ってから、なかなかプロジェクトメンバーの優勝がなかっただけに、それは特別な思いでしたし、早生まれの心菜ちゃんは(年齢制限によって)2022年は(ITFジュニア大会に)出られなくて、2023年から出られるようになった。結果、いいタイミングで、(松山の前週の)岐阜大会で、韓国のジュニア選手に負けて悔しい思いをして、愛媛では勝とうということで、本人の意識も変わったところもありましたし、それで勝ちきれた。彼女自身の意識の中では、2023年に準優勝が続いていたので、そういう意味でも勝ちきれたというのは、すごく大きかったんじゃないかな。プロジェクトにとっても、一つ誰かが取ることによって、今後への影響力があるんじゃないかと思います」(伊達氏)

 2023年は、全日本ジュニアテニス14歳以下女子シングルス準優勝などあと一歩という悔しい思いをしてきた石井だったが、シーズンの最後にタイトルが取れて、思わず笑顔がこぼれた。

「優勝できると思っていなかった。優勝しないといけないんですけど、みんな上手で、すごく大変。1回戦からすごく大変でした。前週の岐阜(の準々決勝)であまりパッとしない終わり方をしちゃって、そこを反省して、松山は絶対優勝という目標で行って、本当にそのとおりになった。2023年はずっと大会で準優勝が多くて、(松山で)勝ちきることができて本当に嬉しかった」

コートで伊達氏らが見守る中、練習に励む石井
コートで伊達氏らが見守る中、練習に励む石井

 2021年からジュニアプロジェクトに参加して、伊達氏のアドバイスを受けてきた石井は、コート上で一緒に打ち合うという何ともぜいたくな経験をしているのだが、その中で元世界のトップレベルにいた伊達氏のすごみを肌でビリビリ感じている。

「やっぱ、うまいなぁって。すごい感覚やタッチが天才。ずっと世界の上でやってきた人が言うと、教えてもらうこともすごい説得力がある。自分にも必要なんだなと身にしみて感じることが大きいです。伊達さんのバックハンドをまねしたいけど、全然できない。すごい軌道ですごい所に行く。自分の感覚にはないもの」

 石井の得意ショットは、小さい時からずっと打っていたという、回り込んでのフォアの逆クロス。そして、スライス。スライスはフォアもバックも器用に打つ。一方で、課題にしていることもある。

「運動神経が悪いわけではないけど、とにかくトレーニングが本当に苦手なんです。体幹とか、長距離もあまり得意じゃない。本当に何とかしないといけない。サーブも改善していきたいです」

 石井は、父親がプロテニスプレーヤーだっただけに、その背中を見てあこがれを抱いたのかと思ったら、そうではなく、好きなテニス選手は、2022年に現役を引退した奈良くるみ氏だという。さらに、なりたいものは別にあった。

「最初はあんまりプロになりたいというのではなくて、できれば普通に高校生になって、普通に大学に行ってと考えていました。JKにあこがれていました(笑)。ここまで結果がなかったら、覚悟がなくそんなにプロになりたいと思っていなかったし、たぶんとっくにやめていたと思う。けれど、ここまで強くなって、ちょっと結果が出てきて、いろんな人に教えてもらったりして、最近ようやく気持ちが、ちょっとずつ固まってきたという感じです。もう引き返せません(笑)」

 もちろんプロテニスプレーヤーになるかどうかは、石井心菜自身が最終的に決めればいいことだが、どういう決断をするかは、プロジェクト中に今後彼女が出す結果が重要になっていくだろう。

「プロジェクト中には、2025年全豪ジュニアに出場することが目標になります。出れるようにランキングを上げていきたい」

 テニスコート上では、いい度胸をしているなと感じさせるような大胆不敵なテニスを披露する一方で、天真爛漫な振る舞いをオフコートで見せる不思議な魅力を持つ石井が、今後どのような成長を遂げるのか注目したい。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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