プロテニスプレーヤー・望月慎太郎が、株式会社木下グループ（代表取締役社長・木下直哉）と所属契約を締結したことを発表し、20歳で新たなスタートをきることになった。

　望月との所属契約に至った理由を、木下グループの田中耕三郎取締役は次のように語った。

「木下グループジャパンオープンテニスで、観客を巻き込む人柄、プレー。特に、ネットプレー。テニス界では小柄な体形かもしれませんが、リスクを顧みずに、ネットプレーで前へと攻めていく姿勢は、グループとシナジーを埋める、そういう関係ではないか」

　木下グループは、2023年から5年間、ジャパンオープンテニスの大会冠スポンサーを務めることになっているが、そのジャパンオープンで、望月は、本戦のワイルドカード（大会推薦枠）を得て出場し、1回戦でATPツアー本戦初勝利を挙げ、さらに2回戦では、当時ATPランキング10位で第1シードのテイラー・フリッツを、0－6、6－4、7－6（2）のフルセットで破って、トップ10選手からの初勝利を挙げてみせた。望月の快進撃は、準決勝まで続き、大会後には、ATPランキングを215位から131位へ上昇させた。

　今回の所属契約によって、望月は、木下グループからの力強いサポートを受けるが、それは同時にプロとしての責任も大きくなることになる。

「自分が目標としているのが、たくさんの方に見てもらったりする舞台や立場です。まだ実感はしていないですけど、これを機に、そこは自覚を持ってやっていきたいと思います」

　このように言葉を慎重に選びながら語った望月は、さらなる活躍を誓った。

　望月は、13歳の時に、「盛田正明テニス・ファンド」の奨学金制度のサポートを受けて、アメリカ・フロリダにあるIMGアカデミーへ海外テニス留学をして、テニスの腕を磨いた。

　ジュニア時代には、16歳で2019年ウィンブルドンのジュニアの部の男子シングルスで日本人男子として初優勝。ITFジュニアランキング1位にもなった。

　2021年11月にプロへ転向したが、なかなか結果に恵まれなかった。変化があったのは、2023年シーズンで、7月にウィンブルドンで、予選を勝ち上がってグランドスラム本戦初出場を成し遂げた。

　来季には、グランドスラム本戦や男子ATPツアーで戦える目安となる世界のトップ100入りをまずは目指す。選手とコーチを兼任している伊藤竜馬に、ツアーコーチとして帯同してもらうことが増えていくことになりそうだという。

　ワールドプロテニスツアーは、欧米などでのクリスマス休暇が終わると、新シーズンが動き出すと言われるが、望月も、2024年1月第1週のATP香港大会からシーズンをスタートさせる。そして、1月第2週のオーストラリアンオープンの予選にトライする。

　果たして、日本男子テニスの期待の若手である望月が、実力を上げて、「盛田正明テニス・ファンド」の先輩である錦織圭や西岡良仁のようにツアーレベルで活躍できるのか、大いに注目したい。