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「情熱も全然衰えない」今も錦織圭のモチベーションは全く変わっていない! 【テニス】

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
イベントに参加後会見に臨んだ錦織(写真すべて/神 仁司、撮影機材ソニーα9II)

 ジャパンオープンテニス2023を欠場した錦織圭(ATPランキング358位、10月2日付)は、大会開幕のプレイベント“ATPサンデー”に参加し、久しぶりに日本のテニスファンの前に姿を見せた。後輩選手にあたる西岡良仁(48位)と、元プロ車いすテニスプレーヤーの国枝慎吾さんとのトークショーでは、錦織に笑顔が見られる場面もあった。

トークショーで、国枝さん(一番左)と西岡(中央)と一緒に、錦織は笑顔を見せた
トークショーで、国枝さん(一番左)と西岡(中央)と一緒に、錦織は笑顔を見せた

 今年の6月中旬に、約1年8カ月ぶりの復帰を果たした錦織は、7月下旬に、ATPアトランタ大会でツアーレベルでの復帰も果たしたが、そこで左ひざを痛めてしまい再び戦列を離脱した。

 ジャパンオープンでは、2018年大会以来5年ぶりにプレーすることを予定していたが、実現しなかった。錦織は、その経緯を次のように振り返る。

「葛藤も何もない。そもそもまだ痛みもあるし、どう頑張っても、無理しても出れないので、そこ(葛藤すること)にはまずいけなかった。意外と長くかかっているなという。原因も正直そこまでかかるやつではないっぽいんですけど。まぁ、いろいろやっているんですけど、簡単には治ってくれなくて、やっと最近、日に日に良くなっているのを感じている状態。

 やっと今年はチャレンジャーにちょっと出だして、アトランタも出て、ここ(ジャパンオープン)もそのぐらいからは出れるな、やっと日本で戦えるな、という思いはあったんですけど。なので、ショックはかなり大きい。まぁ、どうしようもないので、次に向かっていくしかないという段階です」

 錦織の左ひざには炎症が起こり、水も溜まっていたという。いろいろ治療を試みており、不幸中の幸いは、手術をするような大事ではないことだ。

 ATPアトランタ大会(7/24~30)では、1回戦でジョーダン・トンプソン(当時63位)に7-6(5)、7-6(5)で勝利。2回戦で、中国の18歳シャン・ジュンチェン(当時156位)に6-4、7-6(3)で勝利。そして、準々決勝で、テイラー・フリッツ(当時9位)に4-6、2-6で敗れた。ベスト8という結果を残したものの、今から振り返ると、後悔があると、錦織らしく正直に吐露する。

「アトランタで、1回戦で痛みがあって、でも、ジョーダンに勝って、ちょっと(痛みが)出てきたなと感じながら、2回戦は結構痛くて、やめた方がいいかなと思って、それでやめればよかったんですけど、それに後悔がある。やって、勝っちゃったので、あの後もテイラーと試合をしないといけなくて、できちゃったので、痛みがある中で。そこからかなり悪くなった。

 ちょっとでも来そうな痛みがあったら、これからはやめるべきなのか、試合もせずに、そこらへんの判断は常に課題としてあるので、この痛みだったら、やっても大丈夫か、そこの判断がうまくできなかったのかな、これからは年のことちゃんと考えないといけないかなというのは、ちょっと考えさせられました」

 錦織の強みは、今も変わらずモチベーションを高く維持していることだ。33歳の今も、テニスへの強い気持ちは変わらない。

「僕も体が尽きるまでは、やるんだろうなという考えはあって、情熱も全然衰えない」

 休んでいる時に、試合の動画を見ると、テニスの試合をしたいと思えるし、テニスの楽しさも忘れていない。

「情熱が無くなってやめるというのは、たぶんないかな。本当にやめるとしたら、体が限界だなと感じれば、たぶんやめるのかなというのは最近特に思うし、もしこれからまた、でかい手術が来ちゃった場合は、もう無理というのは考えていたりする」

 今後、錦織は、10月下旬のオーストラリアでのATPチャレンジャー大会の出場を予定しているが、そこまでに回復が間に合わなければ、さらに日本で11月に開催されるATPチャレンジャー大会(愛媛県松山、兵庫県神戸、神奈川県横浜、三重県四日市)のどこかに出場することも視野に入れている。

 そして、2024年1月に開催されるグランドスラムの初戦・オーストラリアンオープンで、1年のスタートをちゃんときれるようにしたいと望んでいる。

 34歳になって臨むことになる2024年シーズン。良い結果が出ても悪い結果が出ても、錦織にとってはキャリアの今後を左右する重要なものになるのは間違いない。

 今は、「情熱も全然衰えない」という錦織の言葉を信じて、彼がテニスコートに再び帰って来るのを心待ちにしたい。

国枝さんと記念撮影に応じる錦織
国枝さんと記念撮影に応じる錦織

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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