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テニス選手尾崎里紗2017インタビュー Part3 体調不良とけがの後半。2018年に再浮上を目指す

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
2017年シーズンに、尾崎は、グランドスラム4大会すべてに出場を果たし、世界ランキングも自己最高の70位を記録した。2018年の活躍も楽しみだ。(写真/神 仁司)
2017年シーズンに、尾崎は、グランドスラム4大会すべてに出場を果たし、世界ランキングも自己最高の70位を記録した。2018年の活躍も楽しみだ。(写真/神 仁司)

 現在、日本女子テニスの中心的な存在の一人である、尾崎里紗は、2017年シーズンに、テニス4大メジャーであるグランドスラム4大会すべてで出場を果たした。

 だが、シーズン後半は、体調不良や左手首のけがに悩まされて、思うように勝利を手にすることができなかった。世界ランキング100位以下に落としてしまった尾崎だが、2018年シーズンに再浮上を狙う。

――USオープン(8月)以降は、アジアシーズンを含めて勝利から見放されてしまいました。本戦レベルでの勝利は、WTA125K台湾大会1回戦(11月中旬)で勝利するまでなく、2017年シーズン終盤は残念な結果になりました。体も心も疲れていたのでしょうか。

尾崎:ずっと負けが続いていたのもあるし、左手首のけがもあったし、体調の面とか、ランキングが下がるかもしれないというプレッシャー、ツアーでの疲労、いろいろな条件が重なって試合に勝てるイメージがなかった。ちょっと嫌になっていた。体の力も入らないし、

練習も憂うつで、あまり前向きな感じじゃなくて、気持ちとしてもいい状態ではなかった。

――けがの状態はどうだったのですか。左手首に尺骨突き上げ症候群が発生していたということでしたが。

尾崎:数年前からちょくちょくあって、その時はアイシングしたり、ストレッチしたりして治っていた。(今夏の)USオープン前から、痛みが何日か続くことがあって、痛みが強くなってきて治療してもらっている。

――WTAランキングも落ちて、118位でシーズンを終えました。2018年1月のオーストラリアンオープンは予選からとなり、正直厳しい戦いになると思います。

尾崎:あんまり私は気にしていなかった。悪い時期が続いていたので、勝てる気が湧いてこなかったので、それなら1回落ちてもいいやという風に考えて、しっかりオフをとって、予選からになっちゃうんですけど、それはそれでいいかなと。全豪予選に出るので、出られない大会(2017年ベスト8のWTAホバート大会)とかありますけど、自分のテニスも変えなくちゃいけなかったので、そこまでランキングを落ちたことを気にしてはいません。

――オフシーズンでの気分転換は?

尾崎:ずっと(実家のある)神戸に戻ってました。(選手仲間の穂積)絵莉と(奈良)くるみちゃんと、ユニバーサルスタジオジャパンに行って、ユニバーサルのホテルにみんなで泊まりました。そしたら、翌日の早朝にドーピング検査の人が、私とくるみちゃんに来た。午前2時ぐらいに寝たんですけど、朝7時ぐらいに来ました。そんな思い出もありました(笑)。1週間後には、同じ検査官が神戸の実家にまた来ました(苦笑)。

 絵を書くのが好きで、最近は書けていないんですけど、たまにスイッチ入ると、没頭して何時間も書きます。写真を撮って、その携帯を横に置いて鉛筆で写生します。

――好きな映画、好きな音楽、好きな本、好きなゴハンを挙げてください。

尾崎:映画は飛行機で最近よく見ます。来年見たい映画をチェックしていて、「今夜、ロマンス劇場で」が期待大です。綾瀬はるかさんが好きなんです。私、格闘系が大好きで、女の人のかっこいい姿を見ると、自分もやりたくなっちゃう。最近、ボクシングをトレーニングに取り入れていて、ボクシングって、足グッと踏み込んだり、体幹のひねりとひねり戻しをしたり、足の入れ替えをしたり、テニスの動きと近いところがあるんです。ストレス発散にもなりますね(笑)。スッキリします。

 最近すごく面白かった小説は、有川浩さんの「空の中」。SFとかパラレルワールド系が好きです。読むのは、部屋、飛行機の中、大会会場にも持って行って、時間がある時に読みます。本を読む時は、その世界に入りたいので、音楽をつけずにイヤホンして音をシャットダウンして読みます。

 音楽は、星野源さんやSuperflyをよく聞きます。大会会場でも聞きますね。

 好きな食べ物は、すき焼き、うな重、たこ焼き、ショートケーキ。すごい量を食べないけど、結構偏食で、好きなものばっかり食べちゃう。

 実は今、私、小麦を抜いているんです。最近アレルギー検査をしたら、小麦と乳製品が出たんです。今まで食べてて、そういえば、体がだるくなったりしてたかな、と。11月下旬ぐらいから、なるべく抜いていますけど、あんまりそれでストレスを感じてもあれなんで。あまり食べ過ぎないよいうにして、試合前に食べなかったり、結構大変です。最近は、ほぼ食べてないですね。

海外ではパン食が多いので、1合炊きの炊飯器を持って行きます。朝食にゴハンを炊いて、一緒に持って行くレトルト食品と食べてます。

――2017年では、尾崎さんと同期である“1994年組”の日比野菜緒さん、穂積絵莉さん、加藤未唯さん、二宮真琴さんもグランドスラムで頑張りました。あらためて、“1994年組”の選手達は、どんな存在ですか。

尾崎:もともと私は我が道を行くというか、そんなに意識しないタイプですけど、ジュニアの時から一緒に頑張っている同世代の選手が、グランドスラムとか同じ舞台で活躍するのは刺激にはなります。でも、私は、全然ライバルという感じでとらえていなくて、よきテニス仲間です。みんな仲が良くて、オフコートでみんな一緒に集まれるのはいいですね。

――最後に2018年シーズン、プロ6年目の目標をお願いします。

尾崎:結果とかの目標はまだないんですけど、今、テニスを変えようとしていて、川原(努)コーチと話し合って、12月から(アンドレ・)アガシみたいなプレーを目指そうと。(グランドストロークで)厚い当たりのフラットドライブを打って、どんどん(コートの)中に入っていくタイプをお手本にしていくという話になった。最近、アガシのプレーを動画で見て、やっぱりテンポが早いし、当たりもすごく厚いので、ああいうプレーができたらすごくいいな、と思っています。今そのボールの質にこだわって練習をしていて、いつ習得できるかわからないですけど、それがグランドスラムで発揮できて、結果的に、2回、3回勝てたらいい。

 練習では、フレームショットは無くなりましたけど、難しいです。いつも取っているボールのタイミングと違うので、まだ遅れることが多いです。自然にボールへ入る感覚がわかれば、できるようになる気がします。

 私、感覚重視なんですけど、最近、手元の感覚がつかめ始めてきて、良くなってきています。その感覚がつかめたら、何でもできそうというか、リターンでもうまくできそう。逆に、感覚が良くなくって、周りからいいよと言われても、あんまり自信にならないんです。ショットの感覚がすごく良くなったら、すごく自信になっていくはずです。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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