写真左から2人目が、グラムスリー社長の坂本氏。グラムスリーに所属および契約している日本女子プロテニス選手達と一緒に(写真/神 仁司)
写真左から2人目が、グラムスリー社長の坂本氏。グラムスリーに所属および契約している日本女子プロテニス選手達と一緒に(写真/神 仁司)

 株式会社グラムスリー(代表取締役 坂本明氏)が、スポーツマネジメント事業を開始し、19歳の村松千裕(WTAランキング408位、12月18日付け、以下同)が所属選手となり、21歳の日比万葉(234位、安藤証券所属)とは契約を結んだ。

グラムスリー所属となった19歳の村松千裕(WTAランキング408位、12月18日付け、以下同)
グラムスリー所属となった19歳の村松千裕(WTAランキング408位、12月18日付け、以下同)

 マネジメント業務はまだ手探りの部分もあるというグラムスリーだが、将来を嘱望される2人の若い日本女子プロテニスプレーヤーとの新たな絆をつくった坂本氏は、次のように2人と契約した経緯を話す。

「2人ともたまたまのご縁です。二人ともすごくまじめにテニスに取り組んでいて、そういう人をサポートしたい。できれば選手として強くなってほしいという思いはもちろんありますし、(ランキング)二ケタ台までいってほしい。100位前半まで行くが、問題はそこから先で、本人が持っているのもあるし、どこまで歯を食いしばってできるか、100位の壁を破っていける人を全面的にサポートしていきたい。そうなってもらうために、こちらもお金だけでなくサポートの仕方にも知恵をしぼっていきたいなと思っています」

グラムスリーと契約した21歳の日比万葉(234位、安藤証券所属)
グラムスリーと契約した21歳の日比万葉(234位、安藤証券所属)

 グラムスリーは、PR会社だが、マネジメント事業を通じて、アスリートの体づくり、健康管理、栄養サポートも考慮に入れて取り組もうとしている。さらに2018年からは、23歳の尾崎里紗(119位、江崎グリコ所属)とスポンサー契約をすることになっている。

2018年からグラムスリーと契約する23歳の尾崎里紗(119位、江崎グリコ所属)
2018年からグラムスリーと契約する23歳の尾崎里紗(119位、江崎グリコ所属)

 そもそも、なぜ坂本氏が、日本のプロテニス選手をサポートしたいという思いに駆られたのか。それは、坂本氏の心の底にある人並みならぬテニスへの愛情と情熱が存在することを抜きにしては語れない。

「個人的には昔からテニスが好きで、12年前に起業してからテニスに関わることをしたいという思いがあった」

 テニスのサポートと日本テニスの振興、さらに日本テニス界への貢献を、ビジネスとして両立させたいという強いモチベーションも抱いている。

 坂本氏は、「今までだと企業が、単に強い選手のスポンサーをして、一部の選手が恩恵をこうむる」という現状を認識しながら、全般的に日本選手の認知度の低さを指摘する。

「プロになってから、100位、90位、80位ぐらいの日本選手は、テニスをやっている人は知っているかもしれませんけど、そうじゃない人は全く分からない。そうすると、なかなか企業も選手のサポートに付いてくれない。実業団に入れば何とか、というのもあるんですけど、そうすると、世界を目指す人はスケジュールが合わないとかで、難しい場合がある」

 そこで、純粋に強い選手を育てるための支援をする仕組みを、グラムスリーで構築できないか、坂本氏は思案している。

「今までだと一方的にスポンサーになって、知名度のある選手だと媒体価値があるという形だった。例えば、錦織圭選手が何かやることで、商品が売れるというのがありますね。だけど、100位ぐらいのメディア露出の少ない選手だと、認知度がなくて、企業にとってメリットがないという形になってしまう。でも、果たして本当にそうなのか、ということを考えたい」

 もし企業にも何らかのメリットが生じれば、選手に金銭面も含めてサポートをもっと引き出せるはずだと坂本氏は考え、その仕組みをグラムスリーでつくり、実行に移せればと目論む。

「企業にメリットを出すためには、まず王道としては、100位ぐらいの選手の知名度が上がること。メディアに取り上げられて、露出が増えるようにしたい。うちはPR会社なので、お手伝いしていけることかなと思っている。テニスのすそ野が広がり、参加する企業が増えれば、選手の待遇やコーチの待遇とかも上がってくると思います」

 また、グラムスリーとして、プロテニス選手に新たな価値を創造したいと、坂本氏はさらなる意欲を燃やしている。

「2つ目は、違うところの価値をもうちょっと作っていきたい。メディア露出の価値はないんだけども、スポンサーをすることで、選手にもテニス界にも企業にもメリットがある仕組みを作りたい。今はちょっとまだ明確な答えはないんです。だけれども、それに取り組んでいきたい」

 最終的な答えを見つけられるのは時間を要し、まだ実験的な難しい側面もあるだろうが、まずはグラムスリーとして実現できることから手掛け、日本テニス界の底上げと同時に、それがビジネスとして成立することを目指す。そして、坂本氏が2つ目に挙げたプロテニス選手の新たな価値の創造こそ、今後グラムスリーが一番成すべきことになっていくのではないだろうか。

 グラムスリー、そして、坂本氏の新たな挑戦は、まだまだ始まったばかりなのだ。