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アーミーのためのNBAジャパンゲームズ基礎知識。SUGAが夢中になるNBAの魅力を解説

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
ゴールデンステート・ウォリアーズのステフィン・カリー(撮影:三尾圭)

 大人気ポップ・グループ『BTS』のメンバーで、バスケットボールが大好きなことが知られるSUGAが、NBAジャパンゲームズに合わせたタイミングで来日。自らのインスタグラムに、ゴールデンステート・ウォリアーズのユニフォームを手にした写真をアップしたことで、アーミー(BTSのファン)たちの間で、NBAジャパンゲームズへの注目度が急上昇している。

 この機会にSUGAが大好きなNBAを初めて見てみようと考えているアーミーも多いと思うが、せっかく見るのであれば、基本的な予備知識を持っていた方がより試合を楽しめる。

 そこで、日本人として最も多くNBAの試合を撮影してきた筆者が、アーミーのために「NBAジャパンゲームズを10倍楽しく見る方法」をお伝えする。

試合に華を添えるウォリアーズのダンスチーム(撮影:三尾圭)
試合に華を添えるウォリアーズのダンスチーム(撮影:三尾圭)

基本情報

 試合は、さいたまスーパーアリーナで9月30日午後7時からと10月2日午後2時からの2試合開催される。

 観戦チケットは前売りの段階で完売しており、追加販売がない限り、一般での入手はできないが、試合の様子は楽天の動画配信サービス『Rakuten TV』とYouTubeの『NBA Rakutenチャンネル』でライブ配信される。通常は有料サービスだが、ジャパンゲームズは誰でも無料で視聴できる。

対戦チーム

 今回のジャパンゲームズで対戦するのは、昨シーズンのNBAチャンピオン、ゴールデンステート・ウォリアーズと、日本人NBA選手の八村塁が所属するワシントン・ウィザーズの2チーム。

 ウォリアーズは過去8シーズンで、NBAファイナル(優勝決定戦)出場6回、NBA優勝4回を誇るリーグを代表する強豪チーム。ゴールデンステートとはカリフォルニア州の愛称で、サンフランシスコを本拠地とする。

 アメリカの首都、ワシントンDCを本拠地とするウィザーズは、過去4シーズン連続負け越している再建中のチーム。あのバスケットボールの神様として知られるマイケル・ジョーダンが現役最後にプレーしたチームでもある。

シカゴ・ブルズのイメージが強いマイケル・ジョーダンだが、現役最後の2シーズンはワシントン・ウィザーズでプレーした(撮影:三尾圭)
シカゴ・ブルズのイメージが強いマイケル・ジョーダンだが、現役最後の2シーズンはワシントン・ウィザーズでプレーした(撮影:三尾圭)

 今回の試合は公式戦ではなくプレシーズンゲーム(オープン戦)なので、両チームともに、勝敗よりも選手のコンディションを重視する。それでも、両チームの選手たちは日本のファンに良いプレーを見せようと気合いは入っているので、世界最高峰のバスケットボール・プレーヤーであるNBA選手たちの華麗で迫力あるプレーを楽しめるはずだ。

注目選手

ゴールデンステート・ウォリアーズ

ステフィン・カリー:オールスターに8度選ばれ、リーグの最優秀選手賞も2度獲得している現役最高のバスケットボール選手。現役最高に相応しく、今季の年俸はリーグ最多の4807万ドル(約69億円)! 高校卒業時には強豪大学からスカウトの声はかからず、弱小大学でプレー。そこから努力で世界最高の選手へと駆け上がった。

 ポジションは司令塔的役割のポイントガード(PG)で、歴代最高と標される異次元なシュート能力を誇る。性格は温厚で、人柄も素晴らしいスーパースター。父親と弟もNBA選手のバスケットボール一家で育つ。身長188センチ、体重84キロ。背番号30。

現役最高のバスケットボール選手、ウォリアーズのステフィン・カリー(撮影:三尾圭)
現役最高のバスケットボール選手、ウォリアーズのステフィン・カリー(撮影:三尾圭)

クレイ・トンプソン:カリーと同じくNBA選手の息子として育ち、弟は現役メジャーリーガー。NBA記録である1試合で14本の3ポイントシュートを決めたこともある長距離シュートが持ち味。SUGAと同じシューティングガード(SG)をプレー。

 2019年に膝の靭帯断裂の大怪我を負い、2年半も欠場したが、昨季後半に待望の復帰を果たす。オールスターには5度選出。身長198センチ、体重100キロ。背番号11。

カリーとトンプソンの長距離砲コンビは「スプラッシュ・ブラザーズ」との異名を持つ(撮影:三尾圭)
カリーとトンプソンの長距離砲コンビは「スプラッシュ・ブラザーズ」との異名を持つ(撮影:三尾圭)

ドレイモンド・グリーン:自由奔放なウォリアーズの守護神。オールディフェンシブチームに7度選ばれているリーグを代表する守備的選手。ポイントガードからセンターまでマッチアップでき、どんな選手が相手でも苦にしない。

 昨夏の東京五輪にはアメリカ代表チームの一員として参加して、金メダル獲得に貢献。思ったことをすぐ口にするトラッシュトーカーで、コートの内外で相手選手と口論を起こすことも多い。身長198センチ、体重104キロ。背番号23、ポジションはパワーフォワード(PF)。

バスケットボールへの理解力が非常に高く、賢い選手でもあるドレイモンド・グリーン(撮影:三尾圭)
バスケットボールへの理解力が非常に高く、賢い選手でもあるドレイモンド・グリーン(撮影:三尾圭)

ワシントン・ウィザーズ

八村塁:富山生まれの日本人3人目のNBA選手だが、ドラフト1巡目で指名を受けたのは日本人初。ベナン人の父親と日本人の母親の間に生まれ、高校を卒業後に渡米。強豪のゴンザガ大学で主力選手として活躍して、2019年にNBA入り。ウィザーズでも1年目から中心選手としてプレーして、4年目の今季はさらなる飛躍が期待される。身長203センチ、体重104キロ。背番号8、ポジションはフォワード。

豪快なダンクシュートも八村の持ち味の一つ
豪快なダンクシュートも八村の持ち味の一つ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

ブラッドリー・ビール:ウィザーズ一筋で11年目を迎えるチーム生え抜きのエース。得点能力はリーグでもトップクラスで、2019-20年と20-21年シーズンは、2年続けて平均得点がリーグ2位。SUGAと同じSGをプレーするだけでなく、背番号も同じ3番。ビールが3番を選んだのは、子供の頃に大ファンだったアレン・アイバーソンと同じ番号を着けたかったからとの理由からだが、実はSUGAもアイバーソンに憧れていた。身長193センチ、体重94キロ。

ウィザーズ一筋11年目を迎えるエースのブラッドリー・ビール(撮影:三尾圭)
ウィザーズ一筋11年目を迎えるエースのブラッドリー・ビール(撮影:三尾圭)

クリスタプス・ポルジンギス:昨季途中にトレードで加入した身長221センチのビッグマン。サイズに似合わぬ器用なプレーを得意として、2015年のドラフトでは1巡目全体4位指名という高評価でニューヨーク・ニックスに入団。ニックスの救世主として期待されたが、一流の選手にはなれても、期待された超一流のエリート選手にはなれなかった。今季、ウィザーズがプレイオフに出るには、ポルジンギス活躍が必要不可欠なチームのキーマン。ポジションはセンター、背番号6、ラトビア出身。

身長221センチの長身ながら外からのシュートも得意とするクリスタプス・ポルジンギス
身長221センチの長身ながら外からのシュートも得意とするクリスタプス・ポルジンギス写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

「推し」のおかげで知ることができる新しい世界

 「推しごと」をしていて楽しいことの1つに、それまでは知ることもなかった新しい世界と出会えるチャンスが与えられることがある。

 多くのアーミーにとって、NBAは未知の世界だと思うが、試合を見てみれば、なぜSUGAが「NBAを見るのが最も至福なとき」と口にするのかを少しは理解できるだろう。

 アメリカだけでなく、世界中のトップ・バスケットボール選手が集まるNBAでは、信じられないようなプレーが連発される。スピード、パワー、技術のどれもが桁外れだ。

 応援するチームを選ぶとより試合を楽しめるが、どちらを応援するか迷っている場合には、SUGAがユニフォームを手にして、試合中にチキンヌードルスープを踊ったこともあるウォリアーズを選べば間違いないだろう。

 SUGAと同じ時間に同じ試合を見て、同じ興奮を感じてもらいたい。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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