東京の夜空に浮かび上がった1824台のドローンが、市松模様の大会エンブレムと地球を作って、五輪の開会式を幻想的に盛り上げた。

 SNSでは「日本の技術はすごい!」との投稿も見かけたが、このドローンによる光のショーは、日本のハイテク技術を総結集したものではなく、米国のインテル社によるもの。

 「1台の重さは約300g。高精度LEDにより、鮮明で境界のない明るさが実現する。また、特に細かいグラフィックスの表現ができるようになっている。ソフトウェアのさらなる進化とこのハードウェアにより、安定性の向上とバッテリーの長寿命化が実現した」とインテルは説明する。

 五輪でドローンによる光のショーが行われたのは今回が初めてではなく、2018年平昌五輪の開会式でも行われている。平昌では1218台のドローンが使われたが、ライブではなく事前録画だった。

 アニメーターが3Dソフトウェアを使って描いたプログラムに沿って、1000台以上のドローンが忠実に動いていく。ドローンには40億色もの光を発光できるLEDが搭載されており、幻想的なアートを夜空に描くことができる。

 インテルが誇るこのドローン・ショーの技術をスポーツ・イベントで最初に使ったのはレディー・ガガ。その舞台は世界最大のスポーツの祭典であるスーパーボウルだった。

 平昌五輪の1年前、2017年2月にテキサス州ヒューストンで開催された第51回スーパーボウルのハーフタイム・ショーに出演したレディー・ガガは、ドーム・スタジアムである会場のNRGスタジアムの屋根に立って、300台のドローンが描く星空をバックに、「第2のアメリカ国歌」とも呼ばれる「God Bless America」を熱唱。曲が「This Land is Your Land」に変わると、星の色も赤、青、白に変わり、そのまま星条旗へと変化した。

 このとき、筆者は会場でスーパーボウルを撮影していたが、ハーフタイムの最初の部分は会場の巨大スクリーンで見ていた。平昌五輪同様に、レディー・ガガのパフォーマンスも、会場の屋根の上で行われた部分は事前録画で、屋根からスタジアムに飛び降りてきたところからがライブだった。

スーパーボウルのハーフタイム・ショーでのパフォーマンスで、世界で初めてドローンによる光のショーを取り入れたレディー・ガガ(写真:三尾圭)
スーパーボウルのハーフタイム・ショーでのパフォーマンスで、世界で初めてドローンによる光のショーを取り入れたレディー・ガガ(写真:三尾圭)

 東京五輪の開会式を統括した日置貴之エグゼクティブプロデューサーも、会場でレディー・ガガのパフォーマンスを見ていた。

 日置氏が代表を務める「スポーツブランディングジャパン社」は、セリエAやWWEなど数多くの海外スポーツ・リーグ、団体のマーケティングやデジタルメディア業務を行っているが、2013年からはNFLジャパンのリエゾンオフィスとして、日本国内でのNFLの窓口も担っている。

 日置氏はNFLジャパンの代表として、世界最大のスポーツの祭典であるスーパーボウルに何度も携わってきた実績を持っており、リオ五輪での「安倍マリオ」の演出にも関わった。

気になるドローン・ショーのお値段は?

 2017年のレディー・ガガのときのドローン・パフォーマンスと比べると、今回の東京五輪のドローンによる光のショーは、この4年間でドローン技術が大きく進歩していることが実感できるものだった。

 インテルによる「ドローン・ライト・ショー」は一般企業や団体にも門戸が開かれている。

インテル社の公式サイトによると、ドローンを200機使った場合は9万9000ドル(約1090万円)から、300機だと19万9000ドル(約2190万円)から、500機では29万9000ドル(約3290万円)からとなっている。

 今回の東京五輪開幕式のように500機以上を使う場合には、担当者が価格を見積りするそうだが、500機の値段を基に、1824機を使った場合の価格もある程度は推測できそうだ。