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「秒速30.3フィート」を記録した大谷翔平って、どれだけ速いの?他競技のトップアスリートと比べてみた

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
メジャートップレベルの秒速30.3フィートを記録した大谷翔平(撮影:三尾圭)

 5月9日(日本時間10日)のロサンゼルス・ドジャース戦で内野安打を放った際に、トップスピード(瞬間最高速度)が秒速30.3フィートを記録したロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。大谷がメジャーでもトップレベルのスピードの持ち主であることは分かっても、秒速30.3フィートがどれだけ速いのかはピンとこないファンは多いのではないだろうか?

ママチャリを全力で漕ぐよりも速い大谷のトップスピード

 秒速30.3フィートは時速換算すると33.2キロ。通称「ママチャリ」と呼ばれる自転車の平均スピードが時速15キロ前後、最高速度が時速30キロと言われているので、大谷のトップスピードはママチャリを全力で漕ぐよりも速い。

 メジャーの平均トップスピードは秒速27.2フィートなので時速29.8キロ。大谷の平均トップスピードは秒速29.1フィートで、これはメジャーリーグで16番目に速い数字。平均トップスピードのメジャー1位はワシントン・ナショナルズのトレイ・ターナーの秒速30.8フィート。大谷はメジャー・ナンバー1のスピードスターではないが、エリートクラスのスピードの持ち主だ。

 では、大谷のスピードを他のスポーツのアスリートと比較したらどうなのだろうか?

大谷のトップスピードは400M世界記録保持者とほぼ同じ

 まずは走りの本職である陸上競技と比較してみる。陸上選手と野球選手のトップスピードを比べれば、陸上選手が圧勝するのは明らかなので、ここでは大谷のトップスピードと陸上選手の平均スピードを比較する。

 人類最速の男、ウサイン・ボルトが持つ100メートルの世界記録は9秒58。時速だと平均37.6キロで、トップスピードは時速44.7キロに達する。ボルトの異次元の走りは、大谷の比較対象として相応しくないが、400メートル走の世界記録保持者になると、大谷といい勝負になる。

 400メートルで世界記録を持つウェイド・バンニーキルクのタイムは43秒03なので、平均時速33.5キロ。バンニーキルクは100メートルを9秒94で走るが、本職の400メートルを走ったときの平均スピードは、大谷がホームから一塁へ走るときに出すトップスピードとほぼ同じ。

重装備を身に着けて、大谷を上回るトップスピードを記録するNFL選手

 次はアメフトと比べてみよう。

 大谷が秒速30.3フィートを記録した同じ日に、大谷がプレーしていたアナハイムから30キロほど離れた競技場で開催された陸上競技会に、NFL選手のDK・メットカーフが出場した。

 シアトル・シーホークスではワイドレシーバーとして活躍するメットカーフは、100メートル走での東京五輪出場を目指して、異種競技にチャレンジ。メットカーフは10.36秒で走ったので、平均時速は34.7キロ。大谷のトップスピードよりも少しだけ速く走った。

 メットカーフは本職のアメフトで、時速22.64マイルのトップスピードを記録している。重いヘルメットやショルダーパッドを着けた状態で、トップスピードが時速36.4キロに達したのだから驚きだ。

ヘルメットやショルダーパッドを着けた状態で大谷を上回るトップスピードの時速36.4キロを記録したDK・メットカーフ(写真:三尾圭)
ヘルメットやショルダーパッドを着けた状態で大谷を上回るトップスピードの時速36.4キロを記録したDK・メットカーフ(写真:三尾圭)

ドリブルしながら大谷を上回るトップスピードを記録した八村のチームメイト

 NBAではワシントン・ウィザーズで八村塁のチームメイトであるラッセル・ウエストブルックは、ボールをドリブルした状態でトップスピードが時速21.6マイル(時速34.8キロ)に達したことがあり、こちらも大谷翔平を若干上回る。

 そして、サッカー界ではキリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)が試合中にトップスピード時速38キロを記録したことがある。

 競技によって特性も違うので、単純に記録だけを比較して優劣を決めることはできないが、大谷の身体能力は世界の一流アスリートたちと比べても遜色がないことだけは間違いなさそうだ。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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