【NFL】AFC決勝戦プレビュー 第6シードのタイタンズは三度目のアップセットを起こせるか?

AFC決勝戦で激突するチーフスQBマホームズとタイタンズRBヘンリー(三尾圭撮影

NFL Playoffs Preview: AFC Championship Game

Text&Photos by Kiyoshi Mio

 1月19日(日本時間20日)に行われるAFC決勝戦は、第3シードのニューイングランド・ペイトリオッツと第1シードのボルティモア・レイブンズをプレーオフで倒してきた伏兵、第6シードのテネシー・タイタンズ(9勝7敗、AFC南地区2位、ワイルドカード)が第2シードのカンザスシティ・チーフス(12勝4敗、AFC西地区優勝)に挑戦する。

 過去3シーズン連続でスーパーボウルに出場し、8年連続でAFC決勝まで勝ち上がっていた絶対王者のペイトリオッツを引きずり倒しただけでなく、レギュラーシーズン中はどのチームも攻略法を見いだせなかったレイブンズまで撃破したタイタンズは一躍、台風の目として全米中から注目を集める存在となった。

 レギュラーシーズン15週と16週目にヒューストン・テキサンズとニューオリンズ・セインツに連敗して成績を8勝7敗としたときには、プレーオフ出場の道も閉ざされたかと思われたタイタンズだが、最終週に主力を温存したテキサンズに勝利して何とかプレーオフ最後の切符を手に入れた。

 プレーオフに入ると、今季のリーディング・ラッシャーにも輝いたRB(ランニングバック)のデリック・ヘンリーが大暴れ。ペイトリオッツ戦では182ヤード、レイブンズ戦でも195ヤードを走り、相手守備陣はヘンリーが走ってくると分かっていても止められない爆発力を誇る。

 ヘンリーはレギュラーシーズンのチーフス戦でも188ヤードを走り、2タッチダウンを記録しており、その再現を狙う。

 タイタンズとチーフスは今季レギュラーシーズン10週目に対戦しており、そのときはタイタンズが35対32で辛勝。AFC決勝戦でも同じ結果を出して、1999年シーズン以来となるスーパーボウルに勝ち進みたいが、チーフスも1969年シーズン以来となるスーパーボウル出場のチャンスを簡単に渡す訳もない。

 勢いだけで言ったら圧倒的にタイタンズが有利に見えるが、チーフスはそんな勢いをも跳ね除けるスーパー・オフェンスを誇る。

 先週のテキサンズ戦では0対24と大量リードを許しながら、僅か10分の間に4つのタッチダウンを決めて簡単に逆転。そこからさらに加速して、最終的には51対31でテキサンズを一蹴した。チーフス相手にはどんな得点差を付けてもセーフティー・リードにはなり得ない怖さを感じさせる試合だった。

先週のテキサンズ戦で5タッチダウンパスを決めたチーフスのQB、パトリック・マホームズ(三尾圭撮影)
先週のテキサンズ戦で5タッチダウンパスを決めたチーフスのQB、パトリック・マホームズ(三尾圭撮影)

 チーフスの武器は強肩QB(クオーターバック)のパトリック・マホームズ。昨季はMVPに選ばれた若きQBは、今季はケガで2試合欠場しながらもリーグ2位となる15本もの40ヤード以上のパスを成功。陸上の世界ジュニア選手権の200メートル走で銅メダルを取り、400メートル・リレーでは金メダルに輝いた快速WR(ワイドレシーバー)タイリーク・ヒルへのロングパスは一撃必殺のスゴ技。抜群の捕球能力を誇るサミー・ワトキンス、ヒル(平均14.8ヤード)をも凌ぐ平均20.7ヤードのロングパスのスペシャリスト、メコール・ハードマンと強力なWR陣がマホームズのパスを受ける。

 そんな充実したWR陣を揃えながらもマホームズのメインターゲットはWRではなく身長196センチ、体重118キロのTE(タイトエンド)トラビス・ケルシー。ケルシーのスピードとパワーにマッチアップできるディフェンダーは少なく、マホームズのロングパスばかりを警戒すると、ケルシーへのショートレンジ・パスが炸裂する。タイタンズ守備陣はTEへのパスに脆いので、先週のテキサンズ戦で3つのタッチダウンパスを捕ったケルシーはタイタンズ戦でもキーマンとなるだろう。

 また、マホームズはレギュラーシーズンのタイタンズ戦で446パスヤード、3タッチダウンをあげ、試合には敗れたがタイタンズ・ディフェンスはマホームズを止められなかった。

短距離走の陸上選手としても米国代表に選ばれたヒルのスピードは相手チームにとって脅威でしかない(三尾圭撮影)
短距離走の陸上選手としても米国代表に選ばれたヒルのスピードは相手チームにとって脅威でしかない(三尾圭撮影)

 タイタンズが勝つためには、ヘンリーのランを中心に時間を費やしながらゆっくりと攻撃を進めること。今季はプレーオフを含めて、ヘンリーが100ヤード以上走った試合では8戦負けなしなので、この試合もヘンリー頼みとなる。

 ヘンリーが走れるのはリーグ・トップクラスの力を持つOL(オフェンシブライン)陣がきちんと仕事を遂行しているから。試合では目立たないOL陣だが、数字に現れない貢献度はとても高い。ヘンリーはOLが開けてくれた道を走るだけでなく、タックルされてもなかなか倒れずに走り続ける。今季はリーグ1位の相手守備選手からコンタクトを受けた後に1268ヤードも走っている。

 チーフスのディフェンスはラッシュに対してリーグで下から5番目の平均4.9ヤードを走られており、試合平均でもリーグで下から7番目の128.2ヤードとラン攻撃に弱い。ラン攻撃に強いリーグ5位のレイブンズ(試合平均93.4ヤード)、6位のペイトリオッツ(試合平均95.5ヤード)でも止められなかったヘンリーをチーフス守備陣は止められるのだろうか?

 QBのライアン・タネヒルはパスを確実に繋げる安定感を持ち、ヘンリーを支える。平均9.2パスヤードは、平均8.4パスヤードのマホームズを抑えてリーグ1位。タネヒルはパスを投げる回数こそ少ないが、確実性だけでなく、長いパスを投げる能力も兼ね備えている。

 タイタンズとしてはスローペースな試合で低得点な試合に持ち込みたいが、接戦となったときの心配材料がキッカー。エース・キッカーのライアン・サコップがケガをしており、代役のグレッグ・ジョセフは第16週からチームに加わったが、プレーオフを含めての4試合で1度もフィールドゴールを蹴っていない。エキストラ・ポイントにキックは15回全て成功しているが、フィールドゴールのプレッシャーは比較にならない。試合終了間際にキックが決まればスーパーボウル出場が決まるという緊迫した場面が訪れたとしたら、タイタンズは自信を持ってジョセフを敵地のフィールドに送り出せるのだろうか?

タックルを受けても走り続けるヘンリーがタイタンズの勝利の鍵を握る(三尾圭撮影)
タックルを受けても走り続けるヘンリーがタイタンズの勝利の鍵を握る(三尾圭撮影)

 2017年シーズンにはタイタンズとチーフスがワイルドカードで対戦して、タイタンズが22対21で辛勝。この試合はチーフスのホームであるアローヘッド・スタジアムで行われたが、チーフスにとってホームでのプレーオフ戦6連敗目だった。

 先週のテキサンズ戦はホームで勝利をあげたチーフスだが、昨季のAFC決勝戦はホームでペイトリオッツに敗れている。

 今週末の試合は試合開始時の予想気温がマイナス7℃ととても冷え込み、パッシング・ゲームには厳しい条件となる。

★AFCチャンピオンシップ★

カンザスシティ・チーフス対テネシー・タイタンズ

1月20日(月)

早朝5:00から NHK BS1と日テレG+にて生中継