【NFL】プレーオフ・ワイルドカード・プレビューAFC編~王者ペイトリオッツが第1ラウンドから登場~

プレーオフ1回戦では王者ペイトリオッツとタイタンズが対戦する(三尾圭撮影)

NFL Playoffs Preview AFC Wild Card Weekend

Text&Photos by Kiyoshi Mio

 NFLプレーオフが1月4日(日本時間5日)から始まる。

 NFLの全32チームの中でプレーオフの切符を勝ち取ったのは12チーム。この12チームが2月2日(日本時間3日)にフロリダ州マイアミで行われる第54回スーパーボウルの出場権をかけて熾烈な戦いを繰り広げる。

 今週末はワイルドカード・ウィークエンドと呼ばれ、ワイルドカード枠で勝ち上がった4チームが地区優勝チームと対戦する4試合が行われる。AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)は、それぞれ東西南北の4地区に分かれているが、各カンファレンスで成績が最も良かった地区優勝2チームはシード権を獲得して、プレーオフ1回戦は免除。来週末のディビジョナル・プレーオフ(2回戦)から登場する。

 今週末は4日(日本時間5日)にAFCが2試合、5日(日本時間6日)にNFCの2試合が組まれている。

ヒューストン・テキサンズ(AFC南地区優勝、第4シード、10勝6敗)対バッファロー・ビルズ(AFC東地区2位ワイルドカード、第5シード、10勝6敗)★

日本時間1月5日(日)朝6:15から日テレG+で生中継

日本時間1月6日(月)深夜0:00からNHK BS1で放送

 1990年から93年シーズンにかけて4年連続でスーパーボウルに出場したビルズだが、2000年以降は長い低迷期間に入り、今世紀は1回しかプレーオフに出場できておらず、ようやく2度目のチャンスを手にした。

 昨シーズンも6勝10敗と負け越していたビルズだが、今季はシーズン終盤まで地区首位のペイトリオッツを追いかけ、新しい時代の到来を感じさせた。

 新生ビルズを牽引するのは2年目のQB(クオーターバック)、ジョシュ・アレン。パス成功率はリーグの先発QBの中で最も低い58.8%と荒削りな部分を残すが、510ヤードを足で稼いだように機動力を備える。今プレーオフで活躍すればフランチャイズQBとして認められるが、不甲斐ない働きをするようだと来季以降の先発の座を揺るがす。アレンにとって真価を問われるプレーオフになる。

 36歳のベテランRB(ランニングバック)フランク・ゴアと22歳の新人RBデビン・シングルテリーの老若RBコンビを中心としたラン攻撃はAFC4位となる2054ヤードを稼いだ。

プレーオフ1回戦から戦列復帰するテキサンズの守護神、JJ・ワット(三尾圭撮影)
プレーオフ1回戦から戦列復帰するテキサンズの守護神、JJ・ワット(三尾圭撮影)

 対するテキサンズの守備陣はリーグで下から5番目の試合平均388.3ヤードを許している。しかし、プレーオフからテキサンズの守備の要であるDE(ディフェンシブエンド)JJ・ワットが復帰する。リーグ屈指の守備選手であるワットの復帰は大きいが、まだ1試合を通してプレーできる状態ではないとの情報もあり、どこまでワットがプレーできるかが鍵となる。

 テキサンズの攻撃はQBのデショーン・ワトソンからWR(ワイドレシーバー)のデアンドレ・ホプキンスへのホットラインが生命線。ビルズのCB(コーナーバック)トレダビアス・ホワイトとホプキンスのマッチアップはこの試合の見どころの1つ。ワトソンはリーグで2番目に多い29%のターゲット率を誇るが、今季リーグ最多タイとなる6インターセプトを記録しているホワイトがホプキンスを封じるようだとテキサンズは苦しい戦いを強いられる。今季から加入したRBのカルロス・ハイドがリーグ6年目にしてキャリア初の1000ヤードを突破したのは心強い。

 リーグ2位の試合平均16.2点しか許していないビルズの強力守備陣をワトソンがどう攻略するのか?

 この試合はテキサンズのホームで行われるが、今季のビルズはアウェイの試合で6勝2敗と、敵地での試合をきっちりとものにしている。

ニューイングランド・ペイトリオッツ(AFC東地区優勝、第3シード、12勝4敗)対テネシー・タイタンズ(AFC南地区2位ワイルドカード、第6シード、9勝7敗)★

日本時間1月5日(日)朝10:15から日テレG+で生中継

日本時間1月7日(火)深夜0:30からNHK BS1で放送

プレーオフ1回戦で激突するペイトリオッツとタイタンズ(三尾圭撮影)
プレーオフ1回戦で激突するペイトリオッツとタイタンズ(三尾圭撮影)

 2000年以降はスーパーボウルに9度出場して、6度も優勝に輝いている王者ペイトリオッツが、久しぶりにプレーオフ1回戦に出てくる。

 地区11連覇を成し遂げたペイトリオッツが最後にプレーオフ1回戦を戦ったのは10年前のこと。9年続けてAFCのトップ2シードを得て1回戦を免除されてきた王者が、今季のシード権を逃したのは驚きである。開幕から8連勝を飾ったが、第9週にレイブンズに敗れるとそこから調子を崩して後半8週は4勝4敗だった。勝てば2位シード確定だった最終週のドルフィンズ戦で、格下相手に足元をすくわれてシード権を失った。

 シーズン前半の8試合で2度の完封を含めて4度も相手チームを一桁得点に抑えた強力守備陣も、後半の8試合では1度しか一桁失点試合がない。

 調子を落としているペイトリオッツと対象的に、上り調子なのがタイタンズ。シーズン最初の6試合は2勝4敗だったタイタンズは、6試合目の試合途中に先発QBのマーカス・マリオタをベンチに下げて、ライアン・タネヒルに交代。7週目以降は7勝3敗と立ち直り、シーズン最終週に勝利して、プレーオフ最後の切符を掴み取った。

 タネヒルはリーグ1位のパッサー・レイティング117.5を記録。パス成功率も70.3%と高く、堅実なゲームメイキングでオフェンスを牽引する。エース・レシーバー不在の問題も新人のAJ・ブラウンが即戦力として活躍。驚異の平均20.2ヤードのパスキャッチで、タイタンズの選手としては6年振りとなる1000ヤードの壁も超えた。

 ランニングゲームは、リーグのリーディングラッシャーとなったデリック・ヘンリーに任せれば安心。大学時代には大学の最優秀選手に与えられるハイズマン賞に選ばれたヘンリーは、NFL4年目にして本領を発揮。リーグ唯一の試合平均100ヤード超えラッシャーは、敵地で王者を倒すアップセットを狙う。

NFL屈指のエリートRBに成長したデリック・ヘンリー(三尾圭撮影)
NFL屈指のエリートRBに成長したデリック・ヘンリー(三尾圭撮影)

 42歳のトム・ブレイディはシーズン後半から衰えが見え始め、パス成功率(60.8%)はキャリア最低。それでも、ブレイディを甘くみるのは危険。プレーオフに入れば、ギアを入れ直してくるだろう。問題はブレイディがパスを投げる相手がいないこと。長年の相棒だったTE(タイトエンド)のロブ・グロンカウスキーは引退して、エース・レシーバーのジュリアン・エデルマンも膝の故障で万全ではない。

 この2チームが最後に直接対決をしたのは、斎藤ちはるアナウンサーがテレビ朝日へ入社前の2018年11月のこと。そのときは34対10でタイタンズが勝利している。ペイトリオッツがプレーオフ1回戦で負けるようなことがあれば王朝崩壊となるが、果たしてタイタンズに絶対王者の息の根を止める大役は務まるのだろうか?

今季後半は調子を落としたトム・ブレイディはプレーオフで本来の調子を取り戻せるか?(三尾圭撮影)
今季後半は調子を落としたトム・ブレイディはプレーオフで本来の調子を取り戻せるか?(三尾圭撮影)