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タパレスはフルトンより危険?井上尚弥の対抗王者の実力は

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:松尾/アフロスポーツ)

WBC・WBO世界スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥(30=大橋)とWBA・IBF世界同級統一王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)の4団体統一戦が決まった。試合は12月26日、東京・有明アリーナで行われる。

マーロン・タパレスが持つ武器とは

タパレスはバンタム級、スーパーバンタム級で2階級制覇を成し遂げている。戦績は40戦37勝(19KO)3敗。

サウスポースタイルの好戦的なファイターだが、一部では「フルトンの方が強敵だ」という評価もある。

しかし、決して侮れないボクサーだ。ディフェンシブなフルトンに対し、タパレスは危険な一発を持っている。

KOに繋がるパンチは必ずしも、パワーが必要なわけではない。キレとタイミングが揃えば一撃で相手をノックアウトできる。

タパレスもそのパンチを持っており、警戒が必要なのが右フックだ。飛び込みながら打つフックで、タイミングが読みづらい。

日本選手との試合では、4勝(3KO)1敗しており、前戦の元王者ムロジョン・アフマダリエフ戦は判定勝利だったが、その前の3戦は全て2RKOで勝利している。

井上も「周りの方がタパレスを評価している以上に評価している。パワーパンチを持っているし、独特のタイミングで打ってくる」と警戒心を強めている。

過去の実績を比べても井上の方が評価は高い。しかし、タパレスにとっても4団体統一がかかった試合だ。

ビッグマッチになると普段の実力以上の力を出してくるボクサーもいる。

勝利すれば莫大なファイトマネーと知名度を獲得することになるので、人生をかけて試合に向かってくるだろう。

井上の軌跡

バンタム級に続き、スーパーバンタム級での4団体統一に王手をかけた井上。

過去に4団体統一したボクサーは井上を含めて9名。

しかし、2階級で4団体統一を果たしたのはスーパーライト級とウェルター級で王者になったテレンス・クロフォード(アメリカ)ただ一人だ。

そのクロフォードでさえ2階級での4団体統一には、6年かかった。井上の場合は、スーパーバンタム級に上げてから、わずか2戦でこのチャンスにたどり着いた。

ビッグマッチが立て続けに決まっているのも、井上の世界的な評価が高く、圧倒的な知名度があるからだ。

全階級を合わせての最強を決めるPFPランキングでも、クロフォードの次に名を連ね、試合で勝利するたび海外の王者達の話題に上る。

井上は今回の試合について「世界における偉業だと思っている。史上2人目。その先、日本人がたどりつけない位置まで行きたいなと思っているので、絶対に結果を出したい」と意気込みを語った。

今後の展開

会見で「KO決着をお見せしたいと思っています」と宣言した井上。

しばらくはこの階級にとどまるだろうが、相手がいなくなればフェザー級への進出も現実味を帯びてくる。

さらに、スーパーフェザー級まで階級を上げていく可能性もある。

上の階級の王者達からも、井上と戦うだけで多額のファイトマネーが保証され、知名度も抜群に高まるため対戦を望む声は多い。

レジェンドであるパッキャオやメイウェザーのような存在になりつつある。

まずは2階級目の4団体統一戦で、宣言通りの圧倒的なKO勝利に期待したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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