Yahoo!ニュース

メーガン夫人はキャサリン妃に「ホルモンのせいで“赤ちゃん脳”に」と発言 ヘンリー公爵が回想録で暴露

木村正人在英国際ジャーナリスト
1月10日発売の回想録『スペア』(写真:ロイター/アフロ)

■キャサリン妃はルイ王子を出産したばかりだった

英王室を離脱したヘンリー公爵=王位継承順位5位=が1月10日発売の回想録『スペア(王位継承者に何かあった時の予備という意味)』の中で、メーガン夫人が結婚式翌月の2018年6月、キャサリン妃(現皇太子妃)に「ホルモンのせいで“ベビー・ブレイン(赤ちゃん脳)”になっているに違いない」と発言したことを明らかにしているという。

“赤ちゃん脳”の意味ははっきりしないが、妊娠中や出産後間もない時期に女性の多くが訴える記憶障害や集中力の低下、ぼんやりした状態などのことを指しているとみられる。キャサリン妃は3度の妊娠すべてにおいて妊娠悪阻(おそ、ホルモンバランスの乱れにより起きる過度の吐き気と嘔吐)に悩まされ、当時は第3子のルイ王子を出産したばかりだった。

『スペア』のスペイン語版を独自に入手した英大衆紙サンが特ダネとして報じた。英語の原文が分からないため、正確さを欠いている恐れもあると断っている。ヘンリー公爵とメーガン夫人の結婚式でブライドメイドを務めたシャーロット王女のドレスの丈やタイツ着用を巡ってメーガン夫人とキャサリン妃が対立したことはすでに皆さん、ご存知の通り。

■関係修復の場が修羅場に

結局、キャサリン妃が折れ、シャーロット王女は王室のプロトコルに反して“生足”でブライドメイドを務めた。この時、キャサリン妃がメーガン夫人に泣かされた、いや泣かされたのはメーガン夫人の方だと大騒動になった。後にヘンリー公爵とメーガン夫人が王室を離脱することになる発火点とも言われる。

“赤ちゃん脳”発言は、ヘンリー公爵とメーガン夫人の結婚式のあと関係修復のため、ウィリアム王子とキャサリン妃がケンジントン宮殿内の自邸に2人をお茶に招いた時に飛び出した。発言にウィリアム王子(現皇太子)はメーガン夫人を指差して「無礼者」と呼び、「ここでこういう言動は許されない」と注意した。

メーガン夫人はウィリアム王子に「差し支えなければ、私の顔に指を近づけないで」と言い返した。英大衆紙デーリー・メールによると「回想録の中でウィリアム王子がヘンリー公爵に『メグ(メーガン夫人の愛称)は気難しいし、無礼だし、不快だ。彼女はスタッフに無礼な振る舞いをした』と言ったことが明らかにされている」という。

■「メグはケイトを怒らせるようなことをわざとしたことはない」

ヘンリー公爵は回想録で、メーガン夫人はキャサリン妃とホルモンの話をするほど親しくなく、王室内でのコミュニケーションの礼儀に反していると言われ、大騒ぎになったと振り返っている。「メグはケイト(キャサリン妃の愛称)を怒らせるようなことをわざとしたことはなく、もししていたら、再発を防ぐために教えてほしいと懇願していた」と妻を弁護している。

回想録によると、メーガン夫人は、騒動は自分が原因ではないと感じているという。メーガン夫人自身は米人気司会者オプラ・ウィンフリー氏の独占インタビューでこう答えている。「ドレスについて腹を立てたのはキャサリン妃の方で、泣いたのは彼女ではなく、私です。本当に傷つきました。キャサリン妃はいい人です。彼女は謝罪したので私は許しました」

『スペア』を入手した英紙ガーディアンによると、王室に深刻な騒動を起こしそうな場面がたくさん書かれている。ウィリアム王子がヘンリー公爵のコテージを訪れ、メーガン夫人のことを「気難しい」「無礼」「不快」とののしったのは19年のことだった。ヘンリー公爵は「メディアが描くシナリオのオウム返しだ」と言い返した。

■ヘンリー公爵を引き倒したウィリアム王子

言い争いはエスカレートし、ウィリアム王子はヘンリー公爵の襟首をつかんで、床に引き倒した。ネックレスがちぎれた。ヘンリー公爵は犬の餌入れの上に倒れ、割れた破片で背中を痛めた。子供の頃のケンカのようにウィリアム王子は反撃するよう促した。しかし後悔したウィリアム王子は「このことはメグに言わなくていい」と取りなした。

21年4月、フィリップ殿下の葬儀がウィンザー城で営まれた時も言い争うウィリアム王子とヘンリー公爵の間にチャールズ皇太子(現国王)が入り「頼むよ、息子たち。私の晩年を惨めなものにしないでくれ」と懇願した。チャールズ国王は5月6日にウェストミンスター寺院で執り行われる戴冠式に向け、ヘンリー公爵に和解のシグナルを送り続けている。

将来、国王になることが約束されたウィリアム王子とそのスペア(予備)でしかないヘンリー公爵。エリザベス女王が亡くなった今、ウィリアム王子は皇太子に即位し、2人の間の溝はさらに広がった。『スペア』での暴露で、ウィリアム皇太子とヘンリー公爵の確執はもはや修復不可能と言っていいのかもしれない。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

木村正人の最近の記事