格差が爆発する トップ1%が富を独占、99%を上回る

「1%対99%」と言われてきたが、「1%>99%」の時代が2016年にやってくる。貧困と不正の根絶に取り組む国際団体オックスファムの報告書で世界のトップ1%の超富裕層に富の極度集中が進む実態が浮き彫りになった。

21日にスイスで始まる世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でも「格差」が大きなテーマになりそうだ。

まず、下のグラフをご覧いただきたい。

オックスファムの報告書より
オックスファムの報告書より

14年にはトップ1%の超富裕層が世界の富の48%を、残り99%が52%を保有していた。この52%のほとんどを富裕層が持ち、残ったわずか5.5%を世界中の80%の人々が分かち合っている状態だ。

ボトム(下から)80%が持つ富は1人当たり3851ドル。トップ1%は1人当たり270万ドルと大きな開きが出ている。

このトレンドが続けば16年までにトップ1%が独占する富が99%の富を上回るというのが下のグラフだ。

同

日米英の中央銀行による量的緩和で市場にあふれたマネーが不動産や株式などに流れ込み、世界中で資産バブルを起こしていることが背景の一つにある。

米連邦準備理事会(FRB)は年内に利上げに動く見通しだが、欧州中央銀行(ECB)はデフレ回避のためこれから量的緩和を導入する。日銀の黒田バズーカ2(質的・量的緩和)効果で日本の長期金利は0.205%と過去最低を更新した。

先進国を中心に高齢化していることもあって、低成長、低インフレが進む。このスパイラルから抜け出すため中央銀行が積極的に量的緩和を行っているため、世界中に超低金利マネーがジャブジャブあふれている状態なのだ。

この量的緩和が終わらない限り、貧富の格差は加速して広がっていく。米誌フォーブスの長者番付トップ80人を足した富は10年には1.3兆ドルだったが、14年には1.9兆ドルに膨らんでいる。

同

上のグラフを見れば富のボトム50%の35億人が持つ富の総量は減っているのに、長者番付トップ80人の富は恐ろしい勢いで増え、14年には逆転していることがわかる。

下のグラフでは、10年時点では長者番付トップ388人の富がボトム50%と同じだったのに、14年には長者番付トップ80人の富がボトム50%に相当するようになったことが一目瞭然だ。

同

フォーブス誌の長者番付から1645人を分析したところ、30%が米国に集中しており、地域的にも偏っていることがわかる。しかも34%が相続に関係しており、85%が50歳以上、90%が男性だった。

長者の20%は金融・保険分野で、製薬・健康分野も目立ったという。こうした富は政策決定に対するロビー活動に投じられ、歪められた政策が格差をさらに広げる弊害が指摘されている。このためオックスファムは9つの提案を掲げている。

(1)各国政府を一般市民のために働かせ、過剰な格差の解消に取り組ませる。

(2)経済的な男女平等や女性の権利を向上させる。

(3)労働者に生活賃金を支払い、役員報酬との賃金格差を縮める。

(4)公正な税負担。

(5)国際的な税の抜け道を閉じる。

(6)2020年までに万人のための無料公共サービスを実現。

(7)すべての人が医療を受けられるように調査研究や医療費の世界的なシステムを変革する。

(8)万人のための社会福祉の実行。

(9)格差と貧困を減らすための支援拡大を目指し、市民と政府の連携を強める。

(6)と(8)の「万人のための」という意味がもう一つ筆者にはわからなかったが、日本も格差対策を講じないまま黒田バズーカ2を続けると格差拡大の落とし穴にはまってしまう。

(おわり)