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仏大統領の恋人は「妊娠4カ月」? ブロガーがツィート

木村正人在英国際ジャーナリスト

フランスのオランド大統領(59)との密会が報じられた女優ジュリー・ガイエさん(41)は「妊娠4カ月」と仏ブロガー、Le Reelさんがツィートし、大騒ぎになっている。

ネタ元は仏民放M6のジャーナリストとされるが、裏は取れていない。

14日、オランド大統領はパリの大統領府で記者会見、40分間にわたり約600人の報道陣を前に経済・財政政策について熱弁をふるった後、質疑に応じた。

最初は、現在のパートナー、バレリー・トリルベレールさん(48)は今でもファーストレディーなの? という質問だった。

愛人に隠し子がいたミッテラン大統領、「私が愛した女性はたくさんいた」と認めたシラク大統領。フランスの大統領は浮名を流すのが当たり前で、それを記者会見で聞くのは野暮というものだった。

ミッテラン、シラク両大統領とも公私のけじめはきっちりつけていた。

しかし、ハンガリー系移民のサルコジ大統領の場合、2番目の妻セシリアさんとの離婚劇、モデルで歌手のカーラ・ブルーニさんとの電撃結婚という派手なライフスタイルも「スーパー・サルコ」と呼ばれた政治パフォーマンスの一部だった。

一方、オランド大統領。直近の失業率は10.8%とドイツ(5.2%)の2倍以上、昨年の成長率は0.2%とドイツ(0.5%)の半分以下という体たらくなのに「不倫愛」にうつつを抜かす始末だ。

フランスは今や「欧州の病人」と呼ばれ、欧州でのオランド大統領のリーダーシップはメルケル独首相に遠く及ばない。それに比べ、ミッテラン、シラク、サルコジ各大統領の政治手腕は確かだった。

「不倫愛」の発覚でオランド大統領は昨年12月に23%だった支持率が26%に回復したが、それでも史上最低の不人気ぶりだ。オランド大統領の場合、政治手腕こそ問題なのだ。

オランド大統領は最初の質問に、フランスは自由恋愛の国と言わんばかりに「あなたは私の答えを理解してくれると確信している」と口を開いた。

「誰の人生にも試練は訪れるが、乗り越えることができる。それは痛ましい時間だが、私は一つの原則を持っている。プライバシーに関わる問題は私的に扱われるということだ。今は質問に答える時でも場所でもない」

しかし、バレリーさんはひと月2万ユーロ(約284万円)の公費で個人的なスタッフ5~6人を雇っている。英メディアの基準では、プライバシーの問題では済まされず、まさに「公共の利益」の問題だ。

仏メディアの突っ込みの甘さは英国の目から見れば慣れ合いに映る。フランスでは政治家も官僚も企業幹部も大手メディアのジャーナリストもエリートのインナーサークルを作っていると指摘されている。

密会現場を押さえたカメラマンは、オランド大統領が通りを歩くのを確認しており、もしカメラマンがテロリストだったら間違いなくオランド大統領の命は奪われていた。

それでも、オランド大統領は記者会見で「心配する必要はない。私は安全だった」と強弁した。護衛役のボディーガードはエリゼ宮から約130メートル離れた密会場所にオランド大統領を送り迎えしていたうえ、朝にはクロワッサンの差し入れまでしていた。

今回の事件でオランド大統領は仏民法のプライバシー保護規定をさらに強める考えはないとする一方で、「怒り心頭に発している。個人の自由を侵害している。フランスは個人の尊厳の原則を守るべきだ」と憤りをあらわにした。

オランド大統領は2月11日に訪米し、オバマ米大統領と会談する予定だ。それまでに、ファーストレディーはバレリーさんなのか、それとも新しいお相手のジュリーさんなのかを明らかにするという。

バレリーさんはファーストレディーとしてオバマ大統領とミシェル夫人と友だちになるのを楽しみにしていた。

オランド大統領に欺かれたバレリーさんは仏大衆紙パリジャンに「列車にはねられたようなショックだった」などと話した。悪性の気ふさぎで入院、あと6日間は静養が必要という。

10日に発売されたクローサー誌は7ページにわたって、オランド大統領とジュリーさんが「お泊り密会」を繰り返していた疑惑を写真付きで報じた。

黒いヘルメットをかぶったオランド大統領がお付のボディーガードと一緒にスクーターで密会場所に駆けつけていた。

オランド大統領は記者会見で、2015年から3年間で500億ユーロの歳出カット、給与税の減税を打ち出したが、世界の関心はエリゼ宮で暮らすファーストレディーは誰?という一点に集中した。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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