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3人の日本選手が今週の韓国女子ゴルフツアーに出場!?出場資格が”推薦”枠でないワケ

金明昱スポーツライター
先週、韓国女子ツアーに6年ぶりに出場した横峯さくら(写真・KLPGA)

 今週開催される韓国女子プロゴルフ(KLPGA)ツアーに日本人選手が出場する。脇元華、高橋彩華、横峯さくらの3人だ。

 大会名は「ハナファイナンシャルグループチャンピオンシップ」(9月21~24日、仁川・ベアーズベスト青羅GC)で賞金総額は15億ウォン(約1億5000万円)と高額賞金の大会となっており、国内ツアーの選手たちにとっては魅力的な大会の一つとなっている。

 前述した通り、ここに脇元、高橋、横峯の3選手が出場するわけだが、出場資格は“推薦”ではない。同大会は韓国ツアー選手以外の出場資格を設け、海外ツアー選手たちが参加しやすいように門戸を広げている。

 出場資格には「(前年度もしくは当該年度)世界ランキング上位50以内、USLPGAツアー賞金ランキング30位以内、JLPGAツアー賞金ランキング上位20位、LET(欧州女子ツアー)賞金ランキング上位5位、アジア地域協会所属選手10名」などがある。

 脇元、高橋、横峯に該当するのは「アジア地域協会所属選手」で、申請が早ければ、ランキング上位者以外でも日本ツアー選手の出場が可能ということになる。他にも米ツアーを主戦場にするリディア・コやミンジー・リーも出場するとあって、韓国のゴルフファンには見どころの多い試合となっている。

脇元華は年間ランキング48位だが…

 ちなみに同期間に日本女子ツアーでは「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」が開催される。同大会終了後にはシード権を持たない選手の出場優先順位を入れ替え、終盤戦の出場権を付与する「(第2回)リランキング」が行われるのだが、対象選手となるのが脇元華だ。

 脇元の暫定リランキングの順位は8位で、同大会を欠場しても残りの試合に出場できるのは確実だ。そのため韓国ツアーに出る選択をしたわけだが、メルセデス・ランキングは48位。同50位以内に与えられる来季のシード権獲得に向けては正念場を迎えている。

 厳しい目で見れば、「シード獲得に向けて貴重な1試合を捨ててまでなぜ韓国ツアーに出るのか」と思う人もいるだろう。しかし、前向きにとらえるならば、「一つでも多く海外ツアーでプレーすることで、自身の経験値とスキルアップにつなげる」という見方もできる。それに予選を通過すればきっちりと賞金も稼ぐことができ、仮に優勝でもすれば韓国ツアー出場権も獲得できるわけで、“プロ”であるからこそ、そのあたりの判断は自己責任となってくる。脇元の判断は、日本ツアーの終盤戦に向けての腕試しと見る向きが正しいのかもしれない。

韓国女子ツアーの環境は良くなっている?

 一方、高橋は今季メルセデス・ランキング29位とシード圏内に位置しているが、終盤戦に向けての弾みを韓国の試合でつけておきたいところ。横峯は先週、6年ぶりの韓国ツアー参戦ながらも2日目に「66」をたたき出すなど通算6アンダーの31位タイでフィニッシュし、今週はさらに上位フィニッシュを目指す。

 韓国女子ツアーは年々、試合数が増え、賞金額も高くなった影響で、米ツアーを目指す選手が減ってきているという。それだけ韓国ツアーの“環境”が良くなっているということだ。

 日本の選手たちにとっても韓国ツアーを経験しておくのは決して悪い話ではないだろう。これまでは日本ツアーに向かう韓国選手が多かったが、いずれその逆の現象が起こる可能性も秘めている。そうなれば日韓両国の女子ゴルフツアー発展につながるはずだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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