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日本選手が韓国女子ツアーに“ジワリ”と増加中。国内女子ツアーQT出場を“会員限定”にした影響?

金明昱スポーツライター
今年6月の韓国3部ツアーで初優勝した新武真利(写真・KLPGA)

 来シーズンの韓国女子ゴルフ2部の「ドリームツアー」に3人の日本人選手が参戦する。

 26歳で双子の姉・新武真利と妹・恵利、もう1人は24歳の横山瑞河(みずか)。その名をほとんど聞いたことがないのは、3人とも日本のプロテストに合格しておらず、ツアー出場権を持たないというのが大きいだろう。

 日本女子ツアーに参戦するには、QT(予選会)を突破する必要があるが、現在は毎年20人しか合格できない超難関のプロテストに合格するなどで、正会員にならなければQTに出場できない。不合格が続けば、日本ツアー参戦の道が開けないため、試合がない選手はいわば“無職”の状態となる。

 そこで近年は、台湾や欧州の女子ツアーに挑戦する選手も存在するなか、新たに韓国ツアーに活路を見出したのが、前述の3選手というわけだ。

 新武真利と恵利の双子姉妹、横山が最初に目指したのは韓国3部の「ジャンプツアー」出場権。3人はともに2019年7月の「準会員選抜戦」を突破して3部ツアー出場権を獲得。その後、新武真利が6月の3部「グランド・参大人ジャンプツアー 第7戦」で初優勝して、正会員の資格を獲得。妹の恵利も同ツアーで上位フィニッシュを続けて、正会員となった。

 一方の横山は3部ツアーから正会員の資格獲得に失敗するも、今年10月の「正会員選抜戦」で8位に入り、正会員の資格を獲得した。3人は、来季から2部「ドリームツアー」の参戦が可能となり、最終的に賞金ランキング20位までに入れば、1部のKLPGAツアー出場権が得られる。

韓国ツアーは外国人選手に門戸開放

 ちなみに3人の共通点は、両親の一方が韓国籍のため、ルーツの半分は韓国にあるというもの。総合ニュースサイト「NEWSIS」は「横山は20歳のときに日本の国籍を選択。韓国語と日本語が話せ、両国での選手生活もある」と紹介している。韓国に馴染みがあったのも同ツアーへの挑戦のきっかけになったのだろう。

 韓国女子ツアーは今年2月、これまで「韓国籍」しか参加できなかった「準会員選抜戦」(KLPGAツアーに参加するための権利を得る試合)と「ジャンプツアー(3部)」に対し、外国人選手も出場できるように規定を変更した。

 日本でツアー参戦の道が開けない選手は、海外ツアーに突破口を見出すのも一つの手だ。韓国ツアーは規定を緩和し、海外から選手を呼び込みツアーの活性化を図ろうとしている。今後は日本の選手が韓国ツアーを選択する流れも少しずつできてくるのかもしれない。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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