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なぜ元韓国代表パク・チソンは日本代表の“スタメン確認後”に「コスタリカにドローか敗戦」と予想した?

金明昱スポーツライター
カタールW杯でパク・チソンは解説者として韓国の地上波中継に登場している(写真:ロイター/アフロ)

 カタールW杯のグループリーグ第2戦で、日本代表がコスタリカに0-1で敗れた。初戦のドイツに逆転勝利して勢いに乗っていたこと、コスタリカがスペインに0-7で敗れていたことから、戦前から“日本優利”の声も周囲から聞こえていた。

 だが、結果は0-1での惜敗。この結果を予想していたのが、元韓国代表のパク・チソンだった。

 彼は韓国SBSのカタールW杯中継の解説委員を務めており、日本対コスタリカの解説に登場。元韓国代表のイ・スンウも解説者として同席した。個人的には現役時時代に日本代表と対戦してきたパク・チソンが、現在の日本のチーム状況についてどのような分析をするのか興味があった。

 韓国紙「東亜日報」によると、「パク・チソンは当初は日本の勝利を予想していた」という。しかし、「試合開始前のスタメンを見て、引き分けかコスタリカの勝利になるかもしれない。予想は変わった」と話している。

 実際に、日本は初戦のドイツ戦から、スタメンを5人入れ替えた。守備の要でもある酒井宏樹(浦和)と冨安健洋(アーセナル)をケガで欠いたが、MF堂安律(フライブルク)、DF山根視来(川崎F)、MF守田英正(スポルティング)、MF相馬勇紀(名古屋)、FW上田綺世(セルクル・ブルージュ)の5人が今大会初先発。半分を変える大胆な采配にパク・チソンはこんなことを語っていた。

「フィールドプレーヤーの半分が(前回の先発から)変わった。戦術に大きなリスクはあると思う。ドローかコスタリカの勝利に終わるかもしれない」

「先発の入れ替えによる戦術の変化が敗因」

 また、同席していたイ・スンウも「ピンチのときに必要なのがベテランの力です。今日の試合では共に無失点と予想します。パスサッカーの日本対カウンターサッカーのコスタリカの構図になると思います」と語っている。

 韓国の「ジョイニュース24」は「2人の解説者の予想は的中した。日本は終始、パスプレーでポゼッションサッカーを展開したが、選手同士の息が合わないシーンもあり不安な姿を見せていた」と伝えている。

 最終的に0-1で日本が敗れたあと、パク・チソンは「日本の先発メンバーの戦術的な変化が原因で、こうした結果につながった」と語っていた。

 それでも日本代表の森保一監督は、この采配について「まったく後悔していません」と言い切っている。この選手起用で勝利すれば、森保一監督は評価されていただろうし、ドイツ戦と同じでスタメンで敗れていれば、リスクを冒さないと批判されていたのだろう。

 すべては結果論にすぎない。次のスペイン戦もお隣の韓国は、日本がどんな試合をするのかに注目している。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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