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なぜイ・ボミはシードがなくても日本ツアーから撤退しないのか?

金明昱スポーツライター
来季も推薦をもらえれば日本の試合に出場するというイ・ボミ(写真・KLPGA)

「今年は辛い時間が多かったですが、こうして終わってみると少し悔しかったり、残念な気持ちもあります。来年はまた状況は変わっているでしょうし、やってみないとわからないですしね!」

 お疲れ様の意味を込めて簡単なメッセージをイ・ボミに送ると、本人からそう返事が返ってきた。

 先週、イ・ボミは女子ゴルフトーナメント「NOBUTA GROUPマスターズGCレディース」にホステスプロとして出場。今年、日本での最後の試合とあって、夫のイ・ワン氏、母・ファジャさんをはじめ、多くのファンが駆けつけていた。

 いつになく集中力が高く、ショットの調子も悪くはない。4日間で通算4アンダーの33位タイ。この前週の大会でも9位に入り、「まだ戦える」ことを実感していた。

 ただ、昨季シードを落としたため、今季は開幕から推薦などで14試合の出場にとどまった。そのうち予選落ちは8試合とゴルフの内容は決していい状態とはいえない。終始、スイングとショットに悩みを抱えて過ごした1年だった。

「悩むことが多くて疲れていた」

 イ・ボミはすべての試合を終え、今年1年をこう振り返っていた。

「予選落ちがあったことがすごく残念でしたし、ショットのことを気にしすぎたこと。それでも良かったこともあるので、そこは前向きにとらえています。試合に出ると体力的に疲れて、集中するのが難しかった。毎日、ゴルフを楽しくする気持ちを作ることも大事だと思っています」

 ゴルフをするにしても、精神的に前向きになれない状態で試合に出続ける辛さがあったと正直に話していた。実際、今季はシードを持たずして、日本ツアーは14試合、韓国ツアー(永久シード保持者)は3試合に出場。11月には韓国で1試合を予定しているため、計18試合も出たことになる。

 これを多いか、少ないかと見た場合、イ・ボミは「多かった」と答えていた。

「今年は練習場にいる時間が長かったですし、決まった試合が予想していたよりも多くて、もっと試合に集中する時間を作りたいと思っていました」

 つまり、スイングやショットの悩みを解決させて、落ち着いた気持ちで試合に挑みたいということ。体力的な部分も全盛期に比べて落ちている部分があるため、連戦が続くと集中力が切れて、スコアにつながらない。その繰り返しだったのだろう。

「この3年間はシード権を取るという気持ちでゴルフができていなかったので、そういう意味ではほかに悩むことが多くて疲れていたと思います。また来年はすべてを一から見直して、推薦で何試合か出場させていただけるなら、がんばりたいです」

ホステス大会で優勝し“恩返し”できるか

 今年で日本ツアーを撤退すると思っていたが、それはまだなかった。来年、イ・ボミが推薦出場できる試合はまだ決まっていないが最大で8試合。一つだけ決まっているのは、ホステスプロとして出場する「NOBUTA GROUPマスターズGCレディース」となる。

 2015、16年の賞金女王で通算21勝ながら、まだ同大会で優勝したことがない。「一番重要な大会」とも位置付けているのは、優勝してお世話になった人へ恩返しするためでもある。

 ここで勝つことができれば、気持ちよく日本ツアーを終えられるはずだ。そのためにもオフはきっちりとコンディションを整えてくるだろう。また来年、元気な姿で日本で会えることを楽しみにしたい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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