Yahoo!ニュース

イランGKも衝撃のソン・フンミン“25メートル無回転ミドル”。「このゴールが勝利につながった」

金明昱スポーツライター
W杯アジア最終予選のイラン戦で豪快なミドルシュートを決めたソン・フンミン(写真:ロイター/アフロ)

 2022年カタールW杯アジア最終予選でB組の日本が24日、敵地でオーストラリアに2-0で勝利し、7大会連続7回目のW杯出場を決めた。

 一方、すでにW杯出場を決めているA組の韓国はホームで、イランに2-0で勝利し、勝ち点23で首位に立った。韓国がイランに勝利したのは実に11年ぶりのことだ。

 FIFAランキングではアジアトップの21位(2月10日時点)のイランを相手に完勝したことで、ソウルワールドカップ競技場に集まった約6万人の観衆は沸きに沸いていた。

 イラン戦を勝利に導いたのは、エースFWのソン・フンミン(トッテナム)。

 前半45分を過ぎたアディショナルタイム。ソン・フンミンが中盤で相手のボールを奪ったあとにドリブルを始めると、イランのゴールまで約25メートル地点から右足を振りぬいた。

 豪快なミドルシュートは無回転でイランGKアミル・アベドザデの正面に飛んだ。軌道が読めずにパンチングしそこねると、ボールは地面にたたきつけられてゴールに吸い込まれた。

 後半18分にも元ガンバ大阪DFキム・ヨングォン(蔚山現代)が追加点を奪い2-0で勝利した。

 それにしてもキャプテンマークをつけたエースのソン・フンミンが、“アジア最強”のイランを相手にミドルシュートを決めたインパクトは大きい。

「止められてもおかしくなかった」

「スポーツ韓国」は、先制点となったソン・フンミンのゴールシーンについてこう伝えている。

「まさに衝撃の無回転シュートだった。しっかりと足にインパクトさせたシュートは無回転で、軌道を読むことができなくなった。ボールに伝わるパワーも強烈だった。イランのゴールキーパーはボールに向かって体を正面に構えてパンチングしようとしたが、ボールに近づくほど回転しないボールを打ち出すことは簡単なことではなかった。力強くパンチングしたが、無回転のため、ボールの上に当たり、地面にたたきつけられた」

 一見、ボールをはじきそこねたGKのミスにも見えるのだが、ソン・フンミンの無回転シュートの勢いが勝ったのは明らかだ。

 試合後、ソン・フンミンはこのシーンを振り返り、「GKに止められてもおかしくはなかった。前半終盤にゴールを決められたことで、いい雰囲気を作り出すことができたし、勝利につながった」と語っている。

 今回の勝利で7勝2分の勝ち点23でA組1位となった韓国。最終戦のUAEに勝利すれば、無敗でのW杯出場となる。

 この試合にキャプテンを務めたソン・フンミンは「(パク)チソン先輩ががんばってきたので、自分も(キャプテンとして)チームを引っ張っていけたらいいという気持ちで挑んだ。最後の試合で有終の美を飾るのが目標」と、最後も勝利で終えると誓っていた。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

金明昱の最近の記事