韓国発の卓球関連のニュースを見て驚いた。

 2009年から卓球女子日本代表コーチ、13~16年までの4年間、卓球女子ジュニア日本代表監督を務めた呉光憲(オ・グァンホン)氏が、卓球女子韓国代表監督に就任したことだった。

【参照:平野美宇はなぜ強くなったのか―前・女子ジュニア日本代表監督の呉光憲が語る「平野世代」の強さの秘密

 呉氏は淑徳大学女子卓球部の監督としてインカレ5連覇などを成し遂げ、女子ジュニア日本代表監督としては伊藤美誠、早田ひな、平野美宇らを率いて出場した2016年の世界ジュニア団体で優勝を果たすなど、現在の日本女子卓球界の礎を築いた人物でもある。

 2017年からは韓国の実業団チームを指導しながら監督業は続けており、日本の女子卓球のように若い選手たちをトップレベルに押し上げる手腕が買われたのだろう。

 そんな呉氏が今回、韓国女子代表の監督就任への意気込みを「スポーツ朝鮮」に語っている。

「私が日本代表チームにいたとき、韓国ともたくさん対戦した。そのときも相手に負けないように一生懸命やってきた。その気持ちは今も同じ。韓国代表監督として日本に負けてはならない。情熱、責任、最善が指導者としての私の信条だ」

伊藤と早田の成長を語る

 まずは日本の背中に追いつき、勝つことを目標とする呉監督。かつて苦楽を共にしてきた伊藤と早田の成長について語るくだりがあった。

「伊藤美誠は天才です。2013年に彼女が中学1年から4年間、教えたが驚く瞬間がたくさんあった。大会が終わった次には、新たなことに挑戦していました。『相手が(私のことを)すでに分析しているのに、同じことをしては負ける。変化しなければいけない』って言うのです。一つを教えれば呑み込みが早く、二つをこなす頭のいい選手」

「早田ひなは賢いのですが、内面は実は欲深い。伊藤、平野と同期なのですが、早田は相対的にメディアへの露出が少なかったです。寂しそうにする早田に『実力を見せてやりなさい』と伝え、体力トレーニングもたくさんさせました。体力が向上し、バックハンドも上達し、今も成長を続けています」

2016年世界ジュニアで優勝した日本(提供:ITTF/アフロ)
2016年世界ジュニアで優勝した日本(提供:ITTF/アフロ)

「韓国はまだ世界ベスト8あたり」

 筆者は2017年に呉監督を韓国でインタビューしたが、そのときは伊藤について「潜在力が高く、頭のなかでシステムを構成する力、相手がどのようなシステムで出てくるのかを読む力のある選手」と語っていた。

 平野についても「彼女は努力家タイプ。接戦になっても耐えられる体力に優れていて持久力があるのが特徴」と評価していた。

 才能に加えて、伝えたことをよく聞き入れ、与えた課題を一つずつこなしていく力のほか、過酷な練習やトレーニングに耐え抜く努力が彼女たちを強くしたと力説していた。

 そんな彼女ら日本のライバルとなり、呉監督は国際大会に姿を見せることになる。かつての教え子たちの成長に目を細めつつ、韓国を世界トップレベルに押し上げるのが課題だ。

「日本も元々はつなぐ卓球でした。バックハンドは強かったが、決定的なフィニッシュがなかった。攻撃的な卓球を意識させることで変わった。韓国女子卓球は冷静に見ても世界ベスト8あたり。ベスト4以内を目標に練習量と体力向上を進めたい。体力がなければパワーもスピードもない」

 伊藤、早田、平野ら日本の女子卓球がジュニア時代から大きく成長したように、呉監督の「韓国の若き才能を開花させたい」という今後に期待だ。