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韓国が稲見萌寧を“ダークホース”、“日本のパク・ミンジ”と注目!五輪ゴルフでメダル遠く韓国は嘆き節

金明昱スポーツライター
メダル圏内の3位タイで最終日を迎える稲見萌寧(写真:アフロ)

 東京五輪女子ゴルフは3日目を終え、米国のネリー・コルダが通算15アンダーで単独トップを守った。2位に3打差をつけて最終日を迎えるが、金メダルに大きく近づいた。

 そして、メダル圏内の3位タイの通算10アンダーに4人。そのなかに日本代表の稲見萌寧が入った。

 前半は3つバーディーを奪ったあと9番でボギー、後半も2つバーディーを奪取したものの、最終18番でボギーを叩いてしまい、少し後味の悪い内容となったが、それでもスコアを伸ばしてメダル獲得へ望みをつないだ。

 最終日は首位と5打差を追う展開となるが、金メダルの可能性も十分に残されている。

「そんなにすごく悪くなくラウンドできていたけれど、最後(18番)でボギーを打ってしまったのは少しもったいないなと思います。(最終日も)このまま伸ばせて順位を上げられたら良いと思います。(メダルは)もちろん欲しいけど、欲しいからこそ自分をプレッシャーで追い込む必要はありません。楽しくラウンドしたいです」

 普段通りのプレーで、楽しく試合をしたいという。その結果、表彰台に立つことができれば、これほどうれしいことはないだろう。

予想外に不振の韓国勢「連覇に赤信号」

 それにしても、“ゴルフ強国”と言われる韓国代表の4選手が予想外にスコアを伸ばせず、優勝争いから遠のいたことは意外だった。

 3日目を終えてキム・セヨンとコ・ジンヨンが通算7アンダーの10位タイ、キム・ヒョージュが通算5アンダーの18位タイ、リオ五輪金メダルのパク・インビは通算3アンダーの25位タイで、連覇の可能性はほぼなくなった。

 メダル獲得さえも難しい状況になったことで、韓国メディアも「薄れた五輪女子ゴルフ連覇の夢」(中央日報)、「韓国女子ゴルフ2連覇に“赤信号”」(SPOTVニュース)、「遠ざかったメダル」(亜州経済)と嘆き節だ。

 最終日を単独首位で迎える世界ランキング1位のネリー・コルダが金メダル獲得にもっとも近いが、まだ誰が勝つかは分からない。

 ちなみに、韓国では五輪開催前から稲見を「ダークホース」と予想していた。

 「大韓経済」は「稲見は韓国ゴルファーにはほとんど知られていないダークホースだ。渋野日向子、鈴木愛、古江彩佳ら実力のある選手たちを押しのけて、日本代表になった」と紹介。

 さらに「今年の日本ツアーの中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンで初日に61を記録した」ことや「2021年は5勝している。“日本のパク・ミンジ”と言っても過言ではない」と報じている。

 パク・ミンジとは今季の韓国女子(KLPGA)ツアーで6勝している1998年生まれの選手。稲見と同世代という共通点もあり、そう表現するほど勢いのあるプレーヤーと伝えたかったのだろう。

 また「JTBCゴルフ」も「稲見は今年の日本女子ツアーでもっとも熱いゴルファー。メダル獲得競争のダークホースに浮上した」と、表彰台に立つ可能性についても言及している。

 稲見が地の利を生かし、日本にメダルをもたらすのかに注目したい。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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