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「プレミア12」日韓戦でもお目見えした“旭日旗”問題…韓国メディア「憂慮していた事態が起こった」

金明昱スポーツライター
「韓日戦が行われた東京ドームになぜ旭日旗?」と見出しを打ち報じる韓国メディア

 16日、東京ドームで行われた世界野球「プレミア12」のスーパーラウンドで日本が韓国を10-8で下した。

 韓国はエース投手を温存し、これまで先発出場を果たしてきた選手を外して、ベンチスタートの選手をスタメンに起用。

 先発に上がった左腕の20歳、イ・スンホ(キウム)が3回途中までに6失点と、日本の打線に攻略されたが、その後も粘り強い攻撃で日本に食らいついた。

 乱打戦となった日韓戦は、見る側にとってはかなり楽しい試合だった。

 ライバル同士の対戦を一目見ようと、東京ドームには4万4224人がつめかけた。そんな注目の一戦に水を差したと言わんばかりに、多くの韓国メディアが報じていたのが観客席に映った“旭日旗”だった。

 スポーツ紙「MKスポーツ」は「憂慮していた事態が起こった。もちろん、ある程度は予想されていたことだったが、和合と平和の場所となるスポーツの現場で戦争を起こした主犯たちの旗が見られた」と、観客席で見られた旭日旗について問題視。

 一般紙「中央日報」も「今大会最高の興行カードらしく満員の観衆があふれた。ところが外野席で1人の男性観客が旭日旗を持った姿が見られた」と報じていた。

 現場には旗を持った人だけでなく、旭日旗デザインのTシャツを着た人までいたという。

 また「MKスポーツ」は「旭日旗は日本帝国主義の象徴だ」と再度、強調しつつ、「韓国野球委員会(KBO)がこの事実を確認したあと、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)に公式に問題提起をしている」と伝えている。

 ただ、WBSCからはすでに「現在紛争状況でなく、国際オリンピック委員会(IOC)でも禁止していない事項で制限することはできない」と説明があった。

 確かにIOCは2020年の東京五輪で旭日旗の使用を認めており、日本政府もこの旗がこれまでの伝統文化の中で使用されてきたものだと主張している。

 今日17日の日韓戦でも旭日旗が観客席から出てこない保証はなく、韓国側としてはやきもきした気分にさせられるのだろう。

 WBSCは「放送局側に問題になる(旭日旗)映像が映らないように要請したい」とKBOに伝えたというが果たして……。

 そんなことよりも、日本と韓国の決勝戦が、互いに死力を尽くした素晴らしい試合になることを願うばかりだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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