Yahoo!ニュース

「ブギウギ」NHK「紅白歌合戦」ではなく、丸の内テレビ「男女歌合戦」にした理由  水城アユミは何者?

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「ブギウギ」より 写真提供:NHK

スズ子の若きライバル・水城アユミ(吉柳咲良)の登場

ポスターの”マチ子ちゃん”も気になる

朝ドラこと連続テレビ小説「ブギウギ」(NHK)もいよいよ残り2週のみとなった。第25週「ズキズキするわ」のはじまりは新キャラも懐かしいキャラが続々登場し、盛り上がった。

「本格的に世代交代が大きなテーマになっています。若い世代が登場したときスズ子がどう思うのかが見どころです」と制作統括の福岡利武チーフプロデューサー。

1956年、若い世代――水城アユミ(吉柳咲良)の台頭で、記者・鮫島(みのすけ)がまたしてもスズ子の時代は終わったというようないやな論調の記事を出す。さらに、丸の内テレビの癖の強いディレクター沼袋勉(中村倫也)が大晦日恒例番組「オールスター男女歌合戦」で、スズ子のトリの前にアユミが歌うアイデアを出して、スズ子を戸惑わせる。

水城アユミ役の吉柳咲良はまだ十代ながら、すでに「ピーターパン」「デスノートミュージカル」「ミュージカル『ロミオとジュリエット』」などミュージカルにたくさん出演していて、その歌と演技には定評がある。福岡利武チーフプロデューサーは彼女の起用理由をこう語った。

「水城アユミ役の吉柳さんには、ヒロインオーディションを受けていただいたとき、その歌にパンチがあって、エネルギッシュなところが本当に素敵だなと思っていました。度胸の良さと歌の勢いが魅力的でしたが、年齢的に若すぎたので、ヒロインには難しく、どこかで何かいい役があればというふうに思っていました。台本を作っていく中で、水城アユミを誰にしようかとなったとき、スタッフのみんなが自然と吉柳さんがピッタリではないかと思い浮かべました」

吉柳さんは先日「うたコン」の「ブギウギコラボSP」で「ヘイヘイブギー」を歌っていたが、それもすばらしく、ドラマでもどんなふうに歌うか楽しみ。

「10回以上練習して、若さはじけたエネルギッシュな歌を披露してくださっています」と福岡CP。

大和礼子のお葬式の時の赤ん坊は、「歌と踊りの天才になる」と橘(翼和希)に予言され、それが当たって、水城アユミとして立派に成長した人物で、しかも父である股野(森永悠希)がマネージャーだった。この展開は最初から考えていたものだったのか。

「台本制作の前半の頃は、後半のことはまだはっきりとは考えていませんでした。足立紳さんは当初から大和礼子の娘が将来歌手になってスズ子の前に現れ、そのときスズ子が何を思いどう行動するか、そのエピソードをやりたいとおっしゃっていました。やらない選択肢も含めて検討した結果、出すことになりました」

登場歌手や順番を自由に組みたかった

ところで、NHKのドラマなのに、なぜ、NHK「紅白歌合戦」ではなく丸の内テレビ「オールスター男女歌合戦」と変更したのだろうか。

「登場歌手や順番を自由に組みたかったので、あくまでフィクションの中での歌合戦にしました。ただ、実際、1956年の第7回『紅白歌合戦』ではスズ子のモデルの笠置シヅ子さんが大トリで歌っていて、そこは踏襲しています」

また、丸の内テレビ局の中のテレビに映っているシロクロの番組は、NHKの名作子供番組「チロリン村とくるみの木」(1956~1963年度)。笠置さんと共演経験もある黒柳徹子さんが声の出演をしていた番組である。

「ブギウギ」より 後ろのテレビに映っているのが「チロリン村とくるみの木」 写真提供:NHK
「ブギウギ」より 後ろのテレビに映っているのが「チロリン村とくるみの木」 写真提供:NHK

「ブギウギ」より 後ろのポスターが謎の「マチ子ちゃん」 写真提供:NHK
「ブギウギ」より 後ろのポスターが謎の「マチ子ちゃん」 写真提供:NHK

そして、もう一点、気になるのが、テレビ局のそこここに貼ってあったポスター。「マチ子ちゃんに聞いてごらん」という番組のポスターらしいが、そのキャラが「ブギウギ」のタイトルバックのキャラに似ているのだ。

「気づきましたか。気づきましたね。助監督チームが準備したようで、僕も知らない間にポスターが貼られていてですね。“マチ子ちゃん”って誰?と思ったのですが……(笑)」

視聴者のツッコミ狙いですか?と訊くと、「いや、意図してはいないです」という福岡CP。

「マチ子ちゃんに聞いてごらん」――昭和に「チコちゃんに叱られる」の前身のような番組があったというSF設定のようで楽しい。

ドラマはいろいろ工夫を凝らしながら作られる。今週のサブタイトル「ズキズキするわ」も福岡CPが悩んだすえ、決めたものだ。

「週タイトルをつけるのは難しいです。その週のセリフから引っ張ってきていることが多いですが、『マミーのマミーや』はサブタイトルがネタバレしていて泣けなかった、という視聴者のご意見をいただき、『あー失敗したのか…』と思ったこともあります」

今週はいったい何がズキズキするのか楽しみにしたい。

連続テレビ小説「ブギウギ」
総合【毎週月曜~土曜】午前8時~8時15分 *土曜は一週間の振り返り
NHKBS【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分
NHKBSプレミアム4K【毎週月曜~金曜】午前7時30分~7時45分
【作】足立紳 櫻井剛 <オリジナル作品>
【音楽】服部隆之
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【出演】趣里 水上恒司 / 草彅剛  菊地凛子 小雪 生瀬勝久 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【概要】大阪の下町の小さな銭湯の看板娘・福来スズ子(趣里)は歌や踊りが大好きで、道頓堀に新しくできた歌劇団に入団し活躍後、上京。そこで、人気作曲家・羽鳥善一(草彅剛)と出会い、歌手の道を歩みだす。“ブギの女王”と呼ばれた人気歌手・笠置シヅ子をモデルにした、大スター歌手への階段を駆け上がる物語。

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

木俣冬の最近の記事